長浜千軒を題材にした本「一夜で消えた横浜の村」を書き上げた 平山 次清さん 金沢区並木在住 77歳
心に火をつける”着火マン”
○…一夜にして家が流された「長浜千軒」を調べ始めた矢先の2019年秋、台風による高波で福浦地区の護岸が崩壊し工業地域が大きな被害を受けた。「長浜千軒を彷彿とさせる現象だと思った」。地球温暖化で自然災害は激甚化の傾向にある。「本に書いたのは資料をもとにした仮説だが、今後も起こりうる現象。本が少しでも警鐘になれば」と話す。
○…小学3年で初めて海を見て以来、水辺や海に親しんできた。会社員には向かないと研究者の道へ進み、横浜国立大学工学部で教鞭をとった。「自分の夢や考えを実現するものが仕事ととしてできた。本当にありがたいと思っている」。専門は船舶海洋学。海難防止や安全性の観点から、海洋波浪の計測や波浪レーダーの開発などを主導した。論文総数は解説なども含め約200件あるという。
○…現在は複数の団体に所属し、様々な地域活動にも尽力する。きっかけは工学系の友人に誘われ、街の活性化を目指す「NPO法人らしく並木」に参加したこと。専門知識や経験を生かし、旧小柴貯油施設のタンクを再利用した陽水発電を提案した。根っからの学者肌だが「地域のコミュニケーションは大事」との思いを常に持つ。
○…自身を人の心に火をつける「着火マン」と称する。学生への授業でも、地域活動でもその姿勢は変わらない。「やる気を起こさせる工夫はしてましたね」。今も所属する様々な団体で「旗振り役」として活躍するが、「年をとって旗が重くなってきた」とも。それでも、9月に「長浜千軒研究懇話会」を立ち上げ歩みを止めることはない。「これから新しい証拠が出てくるかもしれない。みんなで楽しく学んでいきたい」。自身の好奇心の火も燃え続ける。
|
<PR>
|
<PR>