中区・本牧神社が、一年間のけがれをはらうために毎夏執り行う神事「お馬流し」。そこで使用する”祭礼船”2艘(そう)の修理がこのほど終了し、本牧の海に返ってきた。5月23日には船舶検査を終え、8月3日と4日の本祭に向け操縦の練習など準備が進む。
「お馬流し」は1566(永禄9)年から続く本牧の伝統行事。「ハマの奇祭」としても名高く、神奈川県無形民俗文化財に指定されている。
この祭ではその年の厄災を、茅(カヤ)で模して作られた 「お馬」6体に託し、本牧漁港から約5Km離れた海上に流す。この際に沖合いまでお馬を運ぶのが祭礼船で、1963年までは木造の手漕ぎ船だった。
本牧の海が埋め立てられたのを機に地元の漁船を使用するようになったが、その後も祭礼船は保管され、地域の祭などで飾り付けて開放していたという。
10年ほど前から「木造の船のほうが趣がある」「漁船だと漁師さんの負担が大きい」という理由から祭礼船復活の話はあったが、世代が変わり乗り方を知る人が減ったことや、費用の問題があり実現しなかった。3年前、お馬流しの祭礼委員や氏子総代らの間で「だんだん漁師が減り、あと何年かすると漁船も借りられなくなるのでは」という危機感から補修に踏み切った。
今年は8月3日にお馬を神社に迎える「迎え式」が行われ、4日の午前9時からお馬流しが始まる。
外見は当時のまま
本牧神社の権禰宜(ごんねぎ)・鶴岡和彦さんは「船は床が抜けたりして相当痛んでおり、当初はまさか修理して使えるとは思っていなかった。でも運よくこれらの船を造ってくれた会社が見つかり、修理も可能なことがわかった」と話す。
約2年かけ新しくなった船は、破損や腐食部分が補修され、外装を無色の強化プラスチックでコーティングしている。40馬力のエンジンも搭載されたが、通常船体の後ろに積まれるエンジンを、外見を損なわないよう中心側に設置。鶴岡さんは「できるだけ昔のスタイルを維持しつつ、上手く現代に合わせていければ。この復活をきっかけに、若い人にも積極的に祭に参加してほしい」と話した。
また本牧原在住の漁師で、氏子総代も務める茅野義一さん(86)は、本牧港に浮かぶ祭礼船を見て「15、16歳のときからこの船に乗っていた。懐かしいね」と語っていた。
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