光る茶室で話題の「SHUHALLY」庵主で、裏千家茶道准教授の 松村 宗亮さん(本名:松村亮太郎) 中区翁町在勤 38歳
茶の湯の楽しさ伝えたい
○…都市の喧噪のなか、マンションの5階にひっそりと佇む静寂の空間。竹や杉など茶室の伝統的な自然素材で作られた広間から、ビルのネオンを横目に苔の生い茂る茶庭のテラスを抜けると、光る茶室のある小間に辿り着く。「茶の湯は非日常を楽しむところ。この場所だからこそ、慌ただしい日常を忘れられるような空間にしたかった」
○…中区で生まれ育ち、元街小学校、山手学院中学校に通った。高校時代はヒップホップ音楽に熱中。大学では哲学を専攻し、自分探しのために1年間休学して海外放浪の旅に出る。現地の人と触れ合うなかで日本の伝統文化や心について尋ねられ、答えられない自分が恥ずかしかった。「自分の中に”日本”が根付いていなかった。学ばなければと思った」。社会人として働きながら、イギリスの大学院でMBAも取得したが、帰国後一念発起し、父親から紹介された茶の湯の世界に30歳にして飛び込んだ。「最初は正座も大変だった」といたずらっぽく笑うが、京都の裏千家学園茶道専門学校で3年間にわたり、わび・さびや日本文化の美意識に加え、見栄を張らず、等身大の自分で人をもてなす心を学んだ。
○…主宰する「SHUHALLY」の語源は千利休の教え「守・破・離」から。09年に開き、茶道教室や貸茶席を中心に、伝統文化に現代の息吹を吹き込もうと挑戦の日々を送る。「伝統を破ろう破ろうと思っているうちは”守”を抜け出せない」。大切なのは表層的な部分の真似ではなく、歴史を繋いできた茶人の想いを引き継ぐこと。「いつかは自分の価値観を反映したお茶を体現したいけど、まだまだ修行の半ばです」
○…家に戻れば4カ月になる娘の父。妻はフラワーアレンジメントの講師で、イベントを共催することも。「ここを、若い人にもお茶を楽しんでもらえるサロンのような空間にしたい」。伝統を重んじながら、追求の道を走り続ける。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|