大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒壊し、児童が死亡した事故から５年以上が経過した。横浜市は塀対策を進めているものの、小学校通学路には現行の建築基準法に適合しないブロック塀が未だ１４００カ所以上残る。全体の３割超は対策済みだが、改善件数は鈍化傾向にあり、道半ばという状況だ。

　２０１８年の大阪北部地震後、市は学校など、公共建築物敷地内の対策を済ませた。通学路は特別支援学校を含む３４３校で高さ２・２ｍを超えるブロック塀や高さ１・２ｍを超え、擁壁不足の塀など、現行の建築基準法の仕様に適合しない２１００カ所を確認した。

　それを踏まえ、市は安全確保のため、通学路に面する高さ１ｍ以上のブロック塀の撤去などの改善工事に対し、補助金を交付する事業を同年10月から実施。通学路沿いのブロック塀などのうち、改善の必要性の高いものなどを市から委託を受けた建築士らが現地調査を行い、所有者に対し同事業の案内が記されたチラシの投函、改善に向けた声掛けを実施している。

改善件数が鈍化

　しかし、同事業による補助件数は19年度からの４年間で５０９件と想定していた２１７５件を大きく下回っている。通学路のブロック塀などの改善件数は20年度の２４８件をピークに21年度１７２件、22年度１１２件と減少傾向にある。22年度末時点で全体の３割超にあたる６５５カ所で改善が完了したものの、依然として１４００カ所以上が残っている。市担当者は「費用の捻出などを理由に対策が進まないこともある。所有者が改善を決断してもらえればサポートもしやすい」と吐露する。

　市民からは未改善のブロック塀の劣化を危惧する意見もあり、通学路のルート変更を希望する声も市に寄せられているという。市南部エリアのある自治会長は「通学路には未だひびの入ったブロック塀がある。地域によっては危険箇所を避けて通学するように注意を促している」と話す。

補助金を増額

　市は、22年度から補助金上限額を30万円から50万円に増額し、所有者負担を軽減する対策に乗り出している。市担当者は「１件でも改善できるように進めていきたい」と話す。