安善町にある米海軍の鶴見貯油施設で11月3日、寛政安善町内会(森合正二郎会長)の住民と米軍関係者による親善交流会があった。「近くて遠い隣人」だった米軍施設と交流して11年。防災訓練を見学するなど、「友人」として信頼関係を築くまでになった。
鶴見貯油施設は、横田基地などへ航空機燃料を供給する貯蔵施設。同町内の2カ所にわかれ、約80人が勤務している。広さ約18ヘクタールで、20基の貯蔵タンクのほか、レクリエーションなどに使う芝生も整備されている。
立ち入れなかった場所
鉄線の張られたフェンスの向こう側は、「同じ町内にあって、入れない場所」だった。過去には、住宅街から見えるタンクが落雷で火災になったことも、運河に油が流出したこともあった。それでも、報告は施設側からでなく、横浜市などからだった。
「米軍施設がある怖さがあった」。森合会長は振り返る。
訓練見学までに前進
きっかけは11年前、区選出の県議と市議の橋渡しで、町内会の盆踊りに施設責任者を招いたことだった。
「ソフトボールで交流しないか」――直談判が通じ、半年ほどで交流会が実現した。試合で汗を流し、バーベキューも楽しんだ。施設見学もあり、不安をなくす一歩となった。
米軍側の特別行事の関係で一度中止になったが、11年で10回。住民らが施設内の防災訓練に招待されるようにもなった。東日本大震災以降、施設が低層のため、「近隣の企業に逃げられないか」との相談も受けた。町会側は、防災面での交流の機会も探っている。
「積み重ねた信頼は、事故もなく続けられたおかげ」。両者は口をそろえる。
10回記念し神輿も
当日は、町会から親子連れなど約110人、米軍関係者は約100人集まった。芝生でのソフトボール大会、バスケットコートやバレーコートでも交流を図り、施設内に笑い声があふれた。今年は10回目を記念し、町会が神輿を持参。日本文化の体験もあった。
ソフトボールに出場し、「楽しかった」と笑顔を見せた横須賀艦隊補給センターのジョセフ・ボッシー少佐。「地元の人たちとの交流は自分たちにとっても良いこと。今後も続けていければ」と話す。
森合会長は「安心できる場所になった。色々な面で交流を深めたい」と、さらに信頼を築く考えを示した。
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