戻る

神奈川区 文化

公開日:2026.09.03

川美せんべい本舗、閉店 地域に愛され71年

  • 石川雅章店主(右)と妹の清美さん

    石川雅章店主(右)と妹の清美さん

 六角橋の「川美せんべい本舗」が8月21日、惜しまれながら閉店を迎えた。定番の「手焼きせんべい」やあられ「茶の友」は長らく地域から愛され、2世代、3世代にわたる常連客も。法事や地域のイベントでも親しまれ、最後の仕事となったのも地元の斎藤分南部町内会が敬老祝で配る記念品だった。

 同店は1955年、石川雅章店主(70)の父が創業。46年前に父が胃を悪くして倒れたため、当時24歳だった雅章さんが急遽店を継ぐこととなった。当初はせんべい職人だった母方の祖父が毎日始発電車で駆けつけ、つきっきりで焼き方を指導してくれたという。

 以来46年。父よりも長い間、熱い窯の前でせんべいと向き合った。多い日には1日5000枚ものせんべいを焼き上げたという。「継いだ当初はまさかこんなに長くやるとは思わなかった」と笑顔を見せる雅章さん。天気や生地の状態で毎日扱い方が変わるせんべいは「最後まで100点だと思ったことはない」と話す。

 ここ数年は体の節々の痛みに耐えながらの作業だった。それでも手を取り止めなかったのは、常連客からの「やめないで」という声があったから。しかし今年6月、腱板損傷によりせんべいの網を持っていた右腕が上がらなくなったため閉店を決めた。雅章さんは「長い間ご愛顧くださりありがとうございましたの一言に尽きる」と話した。

 雅章さんが店の奥でせんべいを焼く一方、店の顔として接客してきたのが妹の清美さん(69)。逆に客から感謝の品をもらうこともあったといい「客との会話がなくなるのは寂しい。感謝しかない。いつまでも元気でいてほしい」と笑顔でコメントした。閉店後は母の介護や病気を抱える息子への対応で「しばらくはせわしない」と話す。

 在庫限りの商品は予定より早く完売。最後まで地域に惜しまれ、歴史に幕を下ろした。

神奈川区 人気記事ランキング

  • 前日
  • 1週間
  • 1か月

神奈川区 人気記事ランキング

  • 前日
  • 1週間
  • 1か月

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

神奈川区 ローカルニュースの新着記事

神奈川区 ローカルニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS