神奈川区 社会
公開日:2026.08.08
バスの終点「八反橋」を探訪 令和8年8月8日 特別企画
本日は「令和8年8月8日」の8並びの日。令和6年6月6日には六角橋六丁目、令和7年7月7日には七島町を取り上げた本紙だが、今年は三枚町と羽沢町にまたがる環状2号線沿いの「八反橋」エリアを訪れた。
八反橋の中心にあるのが、その名の通り鳥山川に架かる八反橋だ。環状2号線の八反橋交差点は、まさにこの橋の中にある。鳥山川沿いの遊歩道の地下には、洪水を一時貯留する地下遊水地も設けられている。
交通の結節点
「八反橋」といえば思い起こされるのが、バスの方向幕だ。循環路線も含めてバスの行き先として記憶に残る。バスが転回する折り返し場もあり、最寄りに鉄道駅もなかった八反橋が、どうして終点となったのか。
横浜市交通局に聞いてみたところ「折り返し場は昭和40年代からあったようだが、なぜ八反橋が終点なのかというのは、はっきりした記録などは残っていない」という。終戦後にバス路線が拡大していく中、宮向団地の造成など街の発展に応じてバスの結節点となっていったものと思われる。
ちなみに「八反橋」には現在、横浜市営バスのほか、相鉄バス、神奈川中央交通の3路線4系統が発着する。そのため、バス停の数も各事業者合わせて4カ所存在。県立城郷高校の最寄りのバス停も八反橋だ。横浜駅や東神奈川駅、新横浜駅のほか、保土ケ谷駅や鶴ヶ峰駅まで出ることもできる。
フードセンター
もう一つ、八反橋を語る上で欠かせないのが屋内アーケードの「八反橋フードセンター」。かつて横浜市内の各所にあった、いわゆる日用品市場だ。その一つである同センターは、1971年に開所した。
当時は十数店舗が軒を連ねていたが、現在は建設業の事務所などが入居する以外はシャッターが目立つ。
ポツンと一軒美容室
その中で唯一店を開いているのが、1987年開店の美容室「ビューティ芙美」。昭和を感じるステンドランプや鏡台など、レトロな店内が印象的だ。
同店オーナーの文美さんは約40年間、フードセンターの盛衰を見届けてきた。開店当時は「鮮魚に花屋、肉屋に八百屋、化粧品など、店がいっぱいだったよ」と往時を振り返る。
宮向団地をはじめ、近隣の松葉台地区などからも多くの人が買い物に訪れていた。道路を挟んだ新横浜側には、「八反橋ストア」と呼ばれる別の日用品市場もあったという。
その活気に影を落とすきっかけとなったのは1994年。近隣エリアに大型スーパーマーケットがオープンしたことで、客足が遠のいていった。
それに伴い店舗の数もいつしか減っていき、アーケードにはシャッターが目立つように。アーティストらが「まちづくり」の一環として日用品店を開くなどしたこともあったが、数年前からは現在の状況となった。
それでも約40年間、文美さんが店を続けてこられたのは「最初の頃からお客さんがずっとついてきてくれた」からだ。親が子を連れて訪れ、成長したその子が配偶者を連れてくるなど、代々通う街の美容室となっている。開業時から料金は1円も上げていないが、客から「チップ」として恩返しされることも。カラッとした話しぶりは多くの人に親しまれ「『ここのママ話しやすいよ』って、口コミでトラックの運転手がたくさん来てくれたこともあったね」と目を細める。
店内には常連客が持ち込んだ海外旅行の写真に、「この棚は全部形見」という今は亡き客が遺していったぬいぐるみも。「最後の店主」となった今も、80代が多い常連客のために「もう少し頑張ろうかな」と、市場の灯をともし続けている。
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