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宮前区 人物風土記

公開日:2025.06.06

工事現場を囲うフェンスを利用し6月15日に絵を描くイベントを行う
和田 美智子さん
宮崎在住 69歳

幸せは夢中になること

 ○…自身が営むペンギンカフェの向かいにあった商業施設が閉店し、解体工事のための白いフェンスが立ち並んだ。「お店からは緑が見えてのどかで、フランスの街を思わせるおしゃれな雰囲気だったのに」。寂しさを感じていた時、何気なく知人のアーティストに思いを打ち明けた。「そうしたら、『僕には大きなキャンバスにしか見えない。子どもたちに絵を描いてもらおうよ!』って提案されて、私も気持ちが明るくなって、よしやってみようって」

○…子どものころから夢中になる性格だった。マンガ雑誌の発売が待ちきれず、住んでいた静岡から東京まで出かけた。青春時代は歌手の吉田拓郎に憧れ、所属事務所に入りたいと事務所前で座り込み直談判したほどだ。20代には演劇に興味を持ち、劇団の舞台に立ち、モデルも経験した。

 ○…29歳で結婚し主婦に専念。2人の息子に恵まれた。だが、57歳の時に夫が他界。夫が経営していた会社を引き継いだが、慣れない日々に心身をすり減らし、食事も一切喉を通らないほど体調を崩した。転機は、食材を加熱せずに調理する「ローフード」との出合いだった。「そのおかげで元気になれた」と魅力に引き込まれ、還暦を過ぎてから学校に通いマイスターの資格を取得。「食事の力はすごい。多くの人に食べてほしい」と、2年前に念願の店を構えた。

 ○…明るい人柄を慕ってか、店には同じ価値観を持つ人々が集うようになった。今では、定期的に音楽ライブやヨガ、ウォーキングの教室、マルシェなどが開催されるように。自らもローフードのスイーツ教室を予定している。「やらないよりやったほうがいい。ワクワクすることにチャレンジしていきたい」と目を輝かせた。

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