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高津区 コラム

公開日:2025.10.10

検証 福田市政㊦
まちづくり、輸送力強化に課題
特別市は市民理解不可欠

 10月12日告示、26日投開票の川崎市長選挙。3期目・4年間の福田市政検証の2回目のテーマは防災対策やまちづくり、特別市などについて。

◇ ◇ ◇

 2024年1月1日に発生した能登半島地震を受け、福田紀彦市長は「被災直後から衛生面で重要な課題となる」との認識を示し、川崎市の災害時におけるトイレ対策を転換する方針を決めた。長期の断水により、災害時のトイレ対応の重要性が浮き彫りになったことを受け、川崎市は下水道管に接続して利用できるマンホールトイレを市内156カ所に整備、携帯トイレの備蓄も推進した。加えて、市内のコンビニエンスストア208店舗へAEDの設置を進める。一方で市民救命士の養成は課題だ。

 まちづくりの取り組みでは、京急川崎駅や武蔵小杉駅をはじめ、市内各地で整備計画を進めてきた。福田市長は「50年先を見据えた都市整備」を行うとしている。登戸、鷺沼、新百合ヶ丘などの駅周辺での再開発は、人口増加につながることも期待されている。交通インフラでは、川崎の南北を縦断するJR南武線で連続立体交差事業が進められているが、ラッシュ時の混雑問題はいまだ解消されていない。JR東日本は今春、南武線のワンマン運転を開始。ただ、遅延問題は度々発生している。輸送力増強に向けた市としての働きかけは、いっそう求められている。

 ふるさと納税で福田市長は「本格的に取り組み、流出分を取り返したい」との決意のもと、ポータルサイトを3サイトから14サイトに増やし、返礼品も24年度の約400品から倍以上の約850品目へと増やすなど、力を入れてきた。こうした取り組みが功を奏し、寄付受入額は、過去最大の約26億円に達した。もっとも、2024年度における同制度経由の市税減収額は、過去最大の約138億円に上り、歯止めがかからないのが現状だ。川崎市は市の税収で財政をまかない、国から地方交付税の交付を受ける必要がない「地方交付税不交付団体」であるがゆえ、ふるさと納税による住民税の減収分が補填されず、市民サービスの低下の懸念が生じている。

 福田市長が主張し続けているのが「特別市」の実現だ。政令市を都道府県から独立し、行政サービスを一括して担う制度。実現により、都道府県との連携強化に加え、市町村との水平連携が推進・強化され、「行政サービスの充実などの成果を市民、近隣自治体を含めた圏域、日本全体に還元できる」と福田市長は力を込める。「東京一極集中」の打開にもつなげたい考えでもある。法制化に向けて福田市長は音頭を取り推進する一方で、市民に「分かりづらい」との声はつきまとう。こうした中、福田市長は地方自治制度を「スマホの本体」、まちづくりや福祉、防災など個々の政策を携帯電話内の「アプリ」と例えてしきりに説明を行う。「いくら良いアプリ(政策)だとしても、携帯電話が古ければ使うことはできない」と抜本的改革の必要性を訴える。特別市実現に向けては市民の理解度を上げていくことは欠かせない。

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