多摩区・麻生区 社会
公開日:2026.06.05
ぶれない人材育成へ 看護の質 向上目指し
県が表彰する「神奈川県看護賞」にこのほど、多摩区・麻生区内の病院では、看護師の井上ふみ子さん(柿生記念病院)と、砂田麻奈美さん(麻生総合病院)が選ばれた。同賞は、県内で保健師、助産師、看護師などとして業務に励み、顕著な業績をあげた人を表彰して功労に報いるとともに、県民の看護に対する理解を深めることを目的に1966年に設けられた表彰制度。61回目となる今回は、保健師2人、助産師1人、看護師7人の10人が受賞。5月12日の看護の日にちなんだ看護週間中の13日に、県立音楽堂で贈呈式が行われた。受賞者2人を紹介する。
神奈川県に採用され、がんセンターで臨床経験を積み、循環器呼吸器病センター、こども医療センターなどで管理職を経験。看護学校の教員として育成にも深く関わった。県看護賞は学生時代に参列したり、教え子が式典で歌ったりとなじみのあるものだった。「自分が賞をいただける立場になったのだなと感慨深い」としみじみ語る。
「看護の質を高めるには、スタッフの育成が何よりも大事」との思いから看護教育にも力を注いできた。「生徒たちが成長していく姿がうれしかった。現場で再会して『こんなこともできるようになったの』って。親心ですね」。県の衛生担当部署在職時には国の適時調査にも参加し、学んだ法律が教員としての知識の裏付けにもなった。看護学校の単位制導入に伴い、カリキュラム作成に携わったことも。「どんな人を育てたいか、そのためにどんな教育をするのか。根本が明確になれば、ぶれない人材育成になる」と語る。
昨年4月から麻生総合病院で看護部長に着任。地域医療に携わり一人一人の力をいかに引き出すかに尽力する。「身近にいる師長を見て看護師は育つ。『こんな風になりたい』という気持ちを応援して、見本になってくれる存在がいれば向かっていける」と信じ、管理者育成にも目を向ける。
がんセンター入職当時、がん告知はしない文化が根強く、最期まで治療を続けるのが主流だった。肺がんの男性が小学生の子どもを枕元に呼び「お母さんのこと頼むな」と語りかけたこと、家族と疎遠の男性が子どもに迷惑をかけないために「土曜か日曜に死ぬ」と話し、本当に土曜日に亡くなったこと。「腹をくくるとは、こういうことかと。患者さんはすごいなって」。さまざまな経験が、今を築く礎となっている。
今の役割は「とにかく人を育てること」。「このナースに見てもらえてよかったという人材を、一人でも育てられたら」
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