中原区 社会
公開日:2026.08.21
戦禍の記憶 番外編 市内に10カ所以上、安全確認続ける 身近な場所に残る防空壕 地図を基にした現地調査
空襲警報が鳴ると安全のために家族や隣組で身を寄せた防空壕(ごう)。家の中から入れる床下式や庭に掘った縦穴式、石垣や山の斜面を利用した横穴式など、さまざまなものがあった。
そうした防空壕だが、戦争の遺跡としていまだに市内にも複数の防空壕が残っている。市が把握、管理する箇所は市内で16カ所。麻生区には、夏場でも涼しい防空壕の特徴を活用して、キクラゲの栽培が行われている場所もある。
区内の防空壕を管理
区内で行政の管理下にあるのは「井田伊勢台特別緑地保全地区」と「井田長瀬特別緑地」の2カ所。緑地管理を中原区道路公園センターが担い、現地での調査や確認を川崎市建設緑政局の危機管理担当が管轄している。安全確認のため、地図を基にした現地での確認調査を2年に1度のペースで実施している。
防空壕が存在する土地は行政管理の緑地だけでなく私有地の場合もあるため、行政の対応は基本的に安全性の維持・確認に留まるという。市の担当者によると、「現地調査に赴くと、住宅などの建設に伴い、すでに埋め立てられていたり擁壁化されていたりするケースもあり、登録数と現存数は必ずしも一致していない」としている。また「行政が把握しきれていない防空壕もあるため、危険な場所などがあれば市の危機管理担当に連絡を」と話す。
井田山に残る地下壕
現在市民健康の森になっている井田山付近にも地下壕が存在したとされており、『平和ウォーキングマップ・川崎 市民が掘りおこした戦争遺跡』によると戦時中は木月にあった東京航空計器が製品の保管や従業員の避難用として作られたとある。
40年以上前は各所の防空壕の入り口が見える状態で、子どもたちの格好の遊び場になっていた。区内在住の50代男性は、「あの頃は入り口が封鎖されていない場所があり、中に入ることができた。内部は格子状に広がっており、手書きの地図を作って遊んでいた。小学生にとっては冒険だった」と当時の様子を振り返る。区内在住の70代男性は「井田山の地下壕は特別なものじゃなくて、地域にあるものだった。身近な場所にも戦争の名残があると、若い人たちにも関心を持ってもらえたら」と話した。
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