電子紙芝居「からすの天国さがし」を制作した画家 佐藤 英行さん 王禅寺西在住 73歳
一生、創造と美を追求
○…からすが仲の良いおばあさんを元気づけようと、天国をさがす物語。母への思いを込め、絵筆をとった。「これからはさらに高齢者社会が深刻になる。孤立した高齢者が思い悩まず、楽しく元気に過ごせれば」と願う。
○…柿生で生まれ育った。かやぶき屋根の家が点在する中を駆け回り、麻生川では泳ぎ、魚釣りを楽しんだ。「絵になる町でね、柿の季節になるとキャンパスを抱えた絵描きさんが良く歩いていたよ」と振り返る。絵を描くのは小さいころから好きで、中学生のとき、「美大に入ろう」と決心。希望通り武蔵野美術大へ進んだ。在学中から教授の紹介で松竹映画の美術を手伝うようになり、そのまま就職。図面を引き、セットを作るほか美術全般を担当。「カチンコの音が鳴り、カットの声がかかるまでの緊張感。たまらなかったね。あのピリピリする感じが好きだった」と笑う。映画業界の衰退もあり、事務職へ異動を機に建築士への道に進んだ。
○…描く情熱は失われず、大学卒業後も描き続けていた。40歳代のときに麻生区のシンボルマークにも選ばれ、地域にも貢献。本格的に絵を再開したのは50歳代になってから。65歳のときに上野の森美術館で東日本大震災を題材にした作品が大賞を受賞した。現在も二科会会員として活躍。
○…2019年春に生家でアトリエ柿落舎を立ち上げ、後進の指導も行っている。「優秀な人材を育てて、ここから飛び立ってほしいね」。制作活動への情熱は収まらず、絵画だけでなく立体にも挑戦する。野仏を作り始め、「今、土から掘り出されたような、そんな感じに仕上がれば」と楽しそうに話す。「美の追求は一生。まだまだ追及し続けるよ」。いつまでも進化は止まらない。
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