川崎市は優れた技術や技能を持ち、後継者や若手の指導に熱心な現役の職人に贈る「かわさきマイスター」の認定者を発表した。今年度は4人が認定され、地元からは川崎区浅野町のプラスチック塗装・清水達也さん(58)と川崎区大師町のそば職人・須山守さん(62)の2人が認定された。
坂本塗装工業所代表取締役の清水さんは、ミクロン単位(1000分の1ミリメートル)の薄い塗装を、ロボットに頼らず手拭きで施す技術を持つ。従事して25年。一つの部品を塗装するのに、縦横4方向から順に施しながら、膜厚の誤差を±5ミクロンにまで抑えることができる。高級車の内装品などに使われるピアノブラックや外装に使用されるカラークリア、メッキ部品など、難易度の高い塗装で強みを発揮する。後継育成でも塗装のデータを記録し利用できるよう、長男や若手技術者に対して経験を伝えていることが評価された。認定を受け「1個1個丁寧に作り込むことを心掛け毎日積み重ねてきた。ミクロン単位は人間の目では限界の世界。五感を駆使して極められるのが面白さでもある」と語った。
伝統的な江戸そばを提供する松月庵取締役を務める須山さんは職人歴38年。そばは手打ちにこだわりつつ独自の製法を考案。つゆ作りでは大量の国産かつお節を一本一本削り、大釜で毎朝だし汁を取り、2週間以上熟成させた「かえし」とあわせ、さらに湯せんする江戸そばつゆの伝統製法を行う。天ぷらは砂鉄鍋を使い、種を一つずつ揚げるなど、時代ともに消えゆく道具も大切にする。広範囲な技術に精通する一方、3人のそば職人を独立させ、地域でのそば打ち教室などの活動にも取り組んでいることが評価された。
須山さんは「和食のように華やかではないが、そば職人も技術を持っていることを認められた。江戸そばは、粉と水、かつお節と醤油だけで(作る)ごまかしのきかない世界。奥の深さを評価してもらえたようで嬉しい」と語った。
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