「プールのある所だよね」「麻溝公園の近くのね」。相模原市民であれば、そんなイメージを抱く人も少なくないだろう。「けんぶん」の愛称で親しまれる、相模原市立市民健康文化センター（南区麻溝台）のことだ。

1983年オープン　「からだ元気に！こころ豊かに！」

　けんぶんは1983年（昭和58年）11月、「市民の健康の保持・増進、文化および福祉の向上に寄与すること」を目的に設置された。温水プールを中心に、風呂、多目的会議室、工作室、フリースペースなど多彩な設備を備え、明るく開放的な空間が人気を集めている。

　「おかげさまで、さまざまな世代の方にご利用いただいています。体を動かしたり、本を読んだり、お風呂に入ったりと、自由なスタイルで過ごせます。まだの方はぜひ一度、遊びに来てください」。このほど所長に就任した西河遼太さんはそう話す。スタッフはおよそ50人で、「からだ元気に！こころ豊かに！」をモットーに、快適な施設運営に努めている。

　こうした"魅力満載"のけんぶんを、今回は余すところなく紹介する。

　なかでも代表的な設備が温水プール。全長38.4mのループ式スライダーをはじめ、幼児用、児童用、25ｍプールを完備し、一年を通して利用できる。冬季には館内の座席スペースが暖かくなり、採暖室も稼働。寒い時期でも快適に楽しめるよう工夫されている。

　利用料金は高校生以上700円、4歳〜中学生・65歳以上は350円。ただし、「相模原市内に住む、または市内の小・中学校に通う児童・生徒は無料」。これは市の子育て支援強化策の一環であり、経済的負担を軽減し、子育て家庭の力強い味方となっている。

使ってみませんか？サークル、団体が絶賛利用中

　1・2階にある多目的会議室、講習室、工作室などは地域サークルや団体によって活用されている。防音仕様の大型ミラー付きの会場では、セミナー、楽器練習、カラオケ大会、体操教室など多様な活動が行われている。「わかりやすい場所にあり、駐車場も広く、大人数で集まりやすい。清潔なところも良い」と利用者からの評価も高い。

「運動しよう！」を応援　各種短期教室

　これらの施設を活用し、指定管理者「さがみはら健文パートナーズ」が各種教室を展開している。水泳教室・スポーツ教室は年4期制（4〜6月、7〜9月、10〜12月、1〜3月）で開催。3か月間という短期間で通いやすく、初心者にも好評だ。

　子ども向けには「キッズ体育」「キッズダンス」、大人向けには「ヨガ」「ZUMBA」「フラダンス」など多彩なプログラムを用意。申し込みは、開催月の前月1日から受付開始され、人気講座は早期に定員に達することもある。

長居したくなる　開放空間

　施設は吹き抜け構造で開放感があり、1階の「ふれあい広場」や2階の「フリースペース」では、のんびりと読書を楽しんだり、畳スペースでくつろいだりと、自由な時間を過ごせる。2階には授乳室や幼児コーナー（絵本・遊具付き）も整備されており、小さな子ども連れの家族にも支持されている。

知識深める　地元講師による講座

　「市民健康文化センター」の名称が示すとおり、文化を享受する場の提供も重要な使命のひとつ。昨年度からは「けんぶん文化講座」がスタートし、市内在住の"地元講師"を招いた文化講座が開かれている。川柳、糖尿病、思考力、陶芸、防災、相模原史など多彩な分野の専門家が登壇し、市民の学びの機会を提供した。今年度も引き続き実施され、フラワーアレンジメント（5月）やレコード鑑賞（6月）といったテーマが予定されている。

「風呂」「周辺」でさらにのんびり

　さらに、温水プールと並ぶけんぶんの特長に「風呂」の存在がある。近隣のごみ焼却場で発生する熱を活用した環境にやさしい仕組みで、泡風呂や超音波浴を備えた大浴場は、運動後や散策帰りの利用者にとって格好の癒しの場となっている。

　このように、けんぶんは「くつろぎと学び」を提供し、「健やかな日常を支える」拠点として機能している。周辺には県立相模原公園、市立相模原麻溝公園、ギオンスタジアム、ギオンアリーナなどの施設があり、「オール麻溝」としての地域活性化に寄与している。小さな子どもから高齢者まで、誰もが心地よく過ごせる場所――。けんぶんはこれからも、そんな「みんなのセンター」を目指していく。