神奈川県は花粉の飛散量を予測する上で根拠となる、スギとヒノキの雄花の着花量の調査結果をこの程発表した。それによると、スギ、ヒノキ双方とも今年春の花粉の飛散量は、多かった昨年春と比べると減少、例年よりもやや少なくなると予想している。
県は自然環境保全センター(厚木市)に委託して1997年度から毎年11月から12月、県内のスギ林で花粉を飛散させる雄花の着花量調査を実施している。今年度は県内30カ所のスギ林で各々40本のスギを抽出し、双眼鏡か望遠鏡を用いて、1本ごとに着花状況を判定。着花点数の合計値を本数で除した平均値を調査箇所ごとの着花点数としている。
今回の調査結果は、着花点数の平均値は37・7点。この数字はやや多かった昨年度の50・6点を下回り、過去19年間の平均値である43・3点も下回った結果となった。同センターは「昨年夏は多雨で日照時間が少なかったことが、花粉減少の要因として考えられます。ただ、相模原市緑区など県北地域は、他の地域より多くの飛散が予想されるので、しっかり対策をして下さい」と注意を呼びかける。
昨年度から全国初のヒノキ花粉の飛散予測を
近年スギに加え、花粉症の原因となるヒノキの花粉が増えている。ヒノキは植栽された時期が新しく、雄花をつける樹齢に達する樹木が近年増えているからだ。
同センターでは、こうした状況を踏まえ、2012年度からヒノキの雄花量の調査を実施。昨年度初めて調査結果を公表し、全国で初めてヒノキの雄花量による花粉飛散予測を行った。調査はスギ同様、県内40箇所のヒノキ林で実施した。
それによると今年度、着花点数の平均値は34・1点。多かった昨年度の52・5点を大幅に下回り、調査を始めてから5年間の平均値である43・9点も下回った。また、40箇所の内、緑区が位置する県北部が46・8点と県内で最も高い結果となった。同センターでは「ヒノキ花粉の飛散量は年々増加傾向にあり、都会ではヒノキがスギよりも飛散量が上回る地域も出ています」と現状を説明する。
無花粉スギ・ヒノキの開発も進行中
同センターでは花粉発生源対策として「花粉の少ないスギ・ヒノキの品種」の選抜と実用化に取り組んでいる。現在県内で生産されているスギ・ヒノキの苗木は全て「花粉の少ないスギ・ヒノキ」となっている。さらに、全く花粉を飛散させない「無花粉スギ・ヒノキ」の開発も併せて進行中だ。同センターは「無花粉スギは昨春に3000本程度の苗木を出荷し、今年も新たに5000本程度出荷できる見込みです」と話した。
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