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町田 トップニュース文化

公開日:2017.06.08

パイプオルガン
“楽器の王様”を生む
オルガン工房「マナ オルゲルバウ」

  • 組み立てたパイプオルガンの前に立つ松崎さん

  • 音色を作り、音程を調整

 18〜19世紀のヨーロッパで発展していったパイプオルガン。現在では教会や音楽ホールなどでその姿を見ることができる。圧倒的な存在感と音響、さまざまな音色を一台で出すことができることから「楽器の王様」とも呼ばれる。町田市野津田に、ドイツで修業した二人のマイスターが製作を手掛ける国内でも有数のパイプオルガンの工房がある。

 1985年に松崎譲二さんと中里威さんが設立したオルガン工房「マナ オルゲルバウ」。上野奏楽堂のオルガン修復で実績を上げ、水戸芸術館エントランスホールに置かれたパイプ数3283本、高さ約8mのパイプオルガンを手掛けるなど、国内屈指の工房として知られる。

 パイプオルガンは大きさやデザインを設置する場所に合わせて一台一台オーダーメードで作られる。パイプの太さや長さ、形状によって、すべて音色も違う。個人宅に置くようなタイプでも製作にあたっては話し合いに半年以上かけ完成までには1年以上。その規模から「建造」という言葉が使われるほどだ。工房では設計から材料の加工、組み立てまで一貫して行われる。組み上げたオルガンは一度解体され、現場に運んでから再度組み立てて調整するので工房で完成品が見られるのは稀だという。

 鍵盤があるのを見るとピアノと同じように思えるが、仕組みはリコーダーなどの管楽器と同じ。鍵盤を押すとパイプに空気が送られ、その振動で音が出る。1本のパイプで一つの音を出すので、複数の音を出すには大きさの異なる同じ数だけのパイプが必要になる。また「ストップ」と呼ばれるレバーで音色を切り替えることができる。オルガンの魅力の一つが、実際に存在しない理想とされる音をパイプの長さや太さを変えて作ることができる点だ。鍵盤とパイプ、ストップが互いに作用し、豊かで美しい音色を繰り出している。

 「メンテナンスさえすれば永久に使える。一生物というより長く、歴史的に残る物」と松崎さん。気になる価格帯は大きさにもよるが「新車のポルシェが買えるくらい」だとか。

 同工房の作品は近隣では桜美林学園のチャペル、原町田や中央林間の教会に設置されている。工房見学も予約制で受け付ける。問合せは【電話】042・735・7644同工房へ。

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