鶴川駅近く、和光大学ポプリホール鶴川の館内にある町田市立鶴川駅前図書館で、市内の公立図書館初となる民間指定管理者による運営が4月1日から開始された。昨年行われた市の公募に手を挙げたのは1945年創業の老舗書店、株式会社久美堂(原町田/井之上健浩社長)だ。「町田で本に関わることなら、地元の我々以外に任せるわけにはいかない」との強い思いで臨み、他の2者を退け選定された。
公園や体育館など公的な施設のサービス向上やコスト削減を求めて民間企業などの団体に管理運営させる目的で2003年に施行された指定管理者制度。今回、久美堂と共同で運営を行うのは東京都中野区に本社をおくダイレクトマーケティング事業および図書館関連事業を行う株式会社ヴィアックス。同制度には未経験の企業・団体による応募ができないため、久美堂は専門の同社と共同事業体となった。両社から出向の23人のスタッフが業務にあたる。そのうち8割が司書だ。
来館者数を増やすため、利用者の声を拾い、サービス向上に努める。開館時間を平日は午前9時30分から午後8時までに、土日祝日は午前9時30分から午後6時までに延長した。また毎週月曜日だった休館日は第1・3月曜日と、隔週に減らした。さらに市内で初めて紫外線で書籍の雑菌を取る「除菌ボックス」を設置し、コロナ禍での貸し出しの不安を取り除くなどして、利用者の利便性を高めていく。
また、コーナーやフェアについても本を販売するために培ってきたノウハウを活かすという。出版社との距離が近いため、協力を受けながら読み聞かせや「着ぐるみ」の出動など、店頭で行ってきたイベントを実施していくつもりだ。
一方で、民間運営になると公平な図書館サービスが行き届かなくなるという懸念を持たれがちで、実際に地域住民らによる反対の署名運動なども行われた。「そういう声も聞きますが、安心して欲しい。図書館は皆さんが本を好きになる入口。本好きを増やすことが我々本屋にとってのメリットです。久美堂に任せて良かったと思われるような運営を心掛けたい」と井之上社長は説明する。
同館の責任者を務める柿島竜也さんは「当館は10月に10周年を迎えます。これまでの10年を踏襲し、同様のサービスをきちんと提供する事を第一に、ご利用者に親しまれる図書館にしていきたい」と話す。
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