地元出身おぎぬまＸさん
「町田舞台」ミステリ
受賞作品　先月、発売

著書を手にするおぎぬまⅩさん
久美堂の町田関連書籍コーナー

　町田市出身の作家、おぎぬまⅩさん＝中面／人物風土記で紹介＝が描いた、町田を舞台にしたミステリー小説「爆ぜる怪人　殺人鬼はご当地ヒーロー」が先月、発売された。第21回『このミステリーがすごい！（このミス）』大賞の編集部が推薦する賞「隠し玉」に選ばれた作品で、おぎぬまⅩさんは「情熱で書き上げました」と思いを語っている。

　おぎぬまⅩさんは、元お笑い芸人という経歴をもつ漫画家であり、小説家。今回発行された新刊は今年１月に宝島社が主催する新人作家の登竜門『このミス』で、応募総数４４７作品の中から編集部内の推薦による賞『隠し玉』として評価を受けた。「昨年この賞の大賞を逃して、『隠し玉』こそはと思っていたなかでの受賞。情熱で書き上げたもの。報われて嬉しい」とおぎぬまⅩさん。「ただ、なかなか連絡がなくて。次回作を見越して無人島へ取材に行ったりもしていたんです」と振り返る。

　物語の舞台は町田。ご当地ヒーローの運営会社で働く主人公のまわりで起こる事件を描いたストーリーで、自らの経験と徹底した街歩きなどで得た情報を加え、リアリティある作品に仕上げた。「主人公がどんな家に住んでいて、会社はどんなところにあるのかなど、イメージを膨らませていった。この街に本当に生きているように描きたかったんです」とおぎぬまⅩさん。「町田に住む人は思わずニヤリとしてしまうはずの作品。ぜひ手にとってほしいです」。担当編集者は「おぎぬまⅩさんの人柄が文字にあふれている作品です」と評価する。

サイン本　完売

　町田市内の書店、久美堂本店では、この作品のサイン本を先月に販売。ただ、すぐに完売になったといい、おぎぬまⅩさんの芸人時代や漫画作品のファンも駆けつけたという。同店店長であり町田市民でもある藤田哲也さんは「町田の人は地元愛が強い。だから地元を取り上げた作品はすごくうれしくて応援したくなる」と頬を緩める。

　町田の名誉市民で、在住する森村誠一さんなど多くの作家が集まり、輩出もしている町田市。久美堂では町田に関連する数多くの書籍を取り揃えており、藤田さんは「『都心に負けないぞ』という反骨精神が町田から作家が生まれる要因になっているのではないでしょうか」としている。