平成があと5日で終わる。30年前、平成最初の「国の儀式」として執り行われた、昭和天皇を見送る「大喪の礼」の場となったのが、長房町・武蔵陵墓地だった。元々、「天皇のお墓」は京都などの西日本に建てられてきたが、1927年の大正天皇埋葬に合わせ、初めて関東に。なぜ、八王子だったのか。
「神聖な場所だったからと、幼い頃聞いたことがあります」――。祖父が住む「実家」が現在の武蔵陵墓地内にあったという、塚本吉紀さんはこう話す。母親の祐子さんが地域の歴史などを調べたものを、塚本さんがまとめ直した本には、神竜が住む「竜カ谷戸」と言われる神聖な場所が現在墓地がある場所にあったことから、この地が「大正天皇のお墓」に選ばれた、といった内容が記されているのだという。「その場所にはリュウノヒゲという草が多く群生していたようです。縁起が良いものとされていたようで、その草の実は青く、ブルーの光を出していたとされます」と塚本さんは微笑みながら説明する。
地震に強いから?
一説によると、八王子に墓地が建てられたのは、
地盤が強く地震に強いことや、万葉集にある「多麻の横山」のゆかりの地であることなどとされるが、「帝京大学総合博物館」(大塚)の学芸員、甲田篤郎さんは「天皇のお墓は、その時々の国の中心となる地域に建てられる、とも聞いたことがあります」と話す。
そのため、首都機能が西日本から東京へと移っていた明治時代から「天皇のお墓」を東京へ、という話があったという記録が残っているとし、「ただ、その時は明治天皇が自身のお墓は西に、とおっしゃられたので、東京に墓地が建てられなかったようです」と。
また、墓地を見守っている「宮内庁書陵部多摩陵墓監区事務所」の担当者が元々、土地の一部が国有地であり、「山を背にする形で埋葬できる、という考えからと聞いたことがある」と話すなど、墓地が八王子に建立された理由について、様々な言い伝えが残っているようだ。祖父の代から引き続き、墓地近くに住む、塚本さんは「この地区はこれまで災害もなく、自然に囲まれた静かで住みやすいところ。天皇陛下のお墓の場所として八王子が選ばれたことを、市民みんなで誇りにもっていければ」と話している。
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