長池公園自然館(別所)が今年開館20年を迎えた。住民が講師を務めるワークショップや里山保全ボランティアの活動拠点になるなど、多くの個人、団体に利用されている。開館当初から管理運営を行うNPO団体は「地域住民が主役」と、その方針を話す。
長池公園自然館は同公園の中に位置し、展示室や工作室、会議室などがある。市民への貸し出し、同公園や東由木地域の公園ボランティアの活動拠点としての利用や、地域住民が講師を務めるワークショップのイベント開催などが行われている。
同館の管理運営を行うNPO法人フュージョン長池の理事長、田所喬さんは「『住民が主役』。地域の人をどれだけ巻き込めるかが大切」と話す。
団地で映画 きっかけ
同館が開館したのは、2001年。八王子市は、別所エリアで祭りを開催するなどの実績がある同団体に施設の管理業務を委託した。まだ指定管理者制度がなく、「市として初の試み」だったという。
当時、同団体の理事長を務めていたのは富永一夫さん。多摩ニュータウンの団地に住んでいた富永さんは阪神淡路大震災を機に地域のつながりの必要性を感じていた。
富永さんらは95年夏、団地でアニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の上映会を行った。これを機に住民同士のつながりが深まり、徐々に活動が広がっていったという。
田所さんが同団体に入ったのは14年。「娘の故郷づくりができれば」との思いから活動に参加した。そのとき富永さんから言われたのは「最終的には僕らがいなくても地域が回るように関わっていくこと」。つまり住民主役の考えだ。
同館で開催しているワークショップは地域住民が講師となることが多い。自薦、他薦、職員が地域で見つけてくることもある。田所さんも同様に自身の子育ての人脈を生かし、これまで少なかった親子向けイベントを開催している。今後については「自然環境やコミュニティづくりに、興味を持つ世代を増やしたい」と語る。
「ぽんぽこ」背景画展
同団体の発足のきっかけともなった「平成狸合戦ぽんぽこ」の背景画展が12月9日(木)まで同館で開催されている。
同作品は、多摩ニュータウンを舞台に、宅地開発で生活を脅かされた狸たちが人間に戦いを挑む話。同館には製作した(株)スタジオジブリから背景画25点が寄贈され、今回は2年ぶりに全作品を展示している。
田所さんは「作品を通じ、自然を切り崩した街であり、残されている自然を守ることを考えさせられる。僕らにとって、ありがたい作品。ぜひ見に来てもらえれば」と話した。