年頭インタビュー 都知事　多摩地域を語る

　年頭にあたり、本紙では小池百合子東京都知事にインタビューを試み、書面で回答を得た。小池知事は多摩地域の振興について今後の展開を説明した。※２０２１年12月10日回答

昨年９月にプラン

　――多摩地域の振興について教えてください。コロナ禍を経て、新しい働き方や暮らし方、 デジタル化の進展など、社会構造も変化しています。そのような中で多摩地域はどのような展開を考えていらっしゃいますか

　「職住近接で働き、暮らせる環境整備、先端技術を取り入れたまちづくり、多様な主体との連携によるイノベーションの創出など、多摩地域だからこそ、より一層輝く取組の戦略的展開は不可欠です。 こうした変化や変革を、多摩地域が一層発展していくチャンスと捉え、都は、２０２１年９月、『新しい多摩の振興プラン』を策定しました」

　――17年の『多摩の振興プラン』においてはこれまで都営多摩ニュータウン永山三丁目団地（多摩市）の竣工、東京都ひとり親家庭支援センター「はあと多摩」（立川市）の開設などがありました

　「『新しいプラン』では多摩地域でのテレワークの普及促進、ドローンを活用した物資輸送体制の構築、多摩南北・東西道路や南多摩尾根幹線などの整備の推進などの取組をあげています。賑わいと活力に満ち溢れたより良い多摩の未来を、市町村をはじめ地域の皆様と力を合わせ、創り上げていきます」

10月にメッセ

　――それでは特に町田市、八王子市、多摩市における22 年度の主な取組について教えてください。この地域の大きな話題として「東京都立多摩産業交流センター」の開業があると思います

　「八王子市内に22 年 10 月、広域的産業交流の中核機能を担う交流拠点として開業を予定しています。愛称は『東京たま未来メッセ』。多摩地域における産業集積・産業交流を促進していきます。 あわせて、産業政策との連携を図りながら、 イノベーションの創出を図る新たなまちづくりに取り組んでいます。 昨年度から、多摩市、八王子市等の４地区について、モデル事業として、各市に対し、 技術的・財政的支援を実施しています」

　――高齢化が問題となっている多摩ニュータウンについてはいかがでしょうか

　「多摩ニュータウンは、かつて先駆的に整備された生活基盤をリニューアルし、道路交通ネットワークの整備に合わせて、将来を見据えたまちづくりを進めることが重要です。18 年２月に『多摩ニュータウン地域再生ガイドライン』を策定し、その再生を戦略的政策課題の一つに位置付け、局横断的に取り組んでいます」

ＮＴ老朽化

　――建物は老朽化が進んでいます

　「地元のニーズ等を踏まえながら、老朽化した都営住宅の建替えを順次実施しています。 例えば、都営諏訪・和田・東寺方・愛宕団地（多摩市）では、学校跡地を活用し、老朽化した住宅の移転先の建設工事を進めており、22年度に、都営多摩ニュータウン愛宕四丁目団地（４１５戸）が竣工予定です。 また、22年度、町田木曽住宅（町田市）で新たに、 コミュニティ型生活サービス拠点を開設予定です。若年層や子育て世代の入居促進と合 わせて、高齢者を含む多様な世代が安心して快適に暮らせる環境づくりを進めます」

　――一方、ニュータウンのひとつ「南大沢」（八王子市）では先端技術の活用が進んでいるようです

　「南大沢地区において、太陽光発電、蓄電池、再エネ由来水素設備、ＥＶ等を活用して電力の需給調整を行い、地域の再エネを無駄なく利用する再エネシェアリングのモデル事業を実施します。また、坂道や高低差が多い地域において、 電動シェアサイクルなどを導入したＭａａＳの実証実験を実施中です。地域課題に即した取組を推し進め、豊かさと活力に満ちたまちの実現につなげていきます」

モノレール

　――最後に多摩都市モノレールの延伸についてはいかがでしょうか

　「多摩都市モノレールの町田方面への延伸の実現により、開業区間と一体となって南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力の更なる向上が期待されます。 事業化に向けては、収支採算性の確保等に加え、導入空間となりうる道路整備の課題もあります。 このため、都は、沿線市、多摩都市モノレール株式会社などとともに、これらの課題について検討を進めています。 これからも関係者と事業化についての協議、 調整を進め、多摩地域における交通インフラの充実強化に取り組み、住んでよかった街づくりを進めてまいります」