ものづくりの分野で著しい成果を挙げた市内の事業所や個人を称える「八王子市ものづくり産業表彰」の受賞者が２０２３年度も決定。13回目となる今年度は個人表彰に（株）島田電機製作所（大和田町／島田正孝代表取締役社長）で製造部アクリルグループ長を務める後藤敦也さん＝人物風土記で紹介＝、団体表彰に（株）オータマ（七国に工場／奥村哲也代表取締役社長）が選ばれた。

　エレベーター用の押しボタンや到着灯などの意匠器具を専門に手がける島田電機製作所。そこで働く後藤さんは、開発から設計、組立、検査まで一貫して請け負う同社の業務に専門知識と技能を有し、後進技能者の育成にも尽力。工場見学者にアクリル研磨を実演するなど、地域への技能や知識の普及にも貢献していることなどが評価された。23年度の東京都優秀技能者（東京マイスター）知事賞も受賞している。

　オータマは、ニッチ素材のパーマロイ（鉄ニッケル合金）を主材料とした磁気シールドなどの製造技術を持つ企業。スマートフォンなどにも使われる半導体を作る際にも必要不可欠な技術で、世界トップクラスの技術とシェアを有する。パーマロイにデザイン性を取り入れる提案など、技術のさらなる発展に期待され、22年東京ビジネスデザインアワードのテーマ賞を受賞した。

活躍に期待

　市役所で１月11日に授与式が開かれ、石森孝志市長は「市内の素晴らしい技術を皆さんに知っていただきたい。これからも八王子のものづくりをけん引する存在として活躍を」と受賞者を称えた。後藤さんは「やりがいと成長の機会をくれた会社に感謝し、今後も技術の継承に貢献していきたい」と話し、同席した島田社長は「工場見学などでメディアにも注目していただいている。八王子のものづくりを発信していければ」と展望した。奥村さんは「表に出づらい当社の技術について、少しでも興味を持ってもらえる機会になれば」と思いを語った。