八王子 社会
公開日:2026.09.17
全国書店数、1万店を割る くまざわ書店 熊沢宏社長に聞く 店で出会う 選りすぐりの一冊
全国の「リアル書店」数が初めて1万店を割り込み、9993店となった(日本出版インフラセンター調べ・2025年度末時点)。最盛期の1998年度(約2万4200店)から6割減という猛烈な縮小の波が押し寄せる中、市内の書店は現状をどう捉えているのかを取材した。
八日町に本社を構え、全国のショッピングセンターを中心に220店舗以上を展開する「くまざわ書店」。昨年新社長に就任した熊沢宏氏(59)は、リアル書店の減少について「人口減少が著しい地方の書店が閉店するのは避けられないが、都心部や地方都市ではその限りではない」と語る。商売の基本は、「人が集中するところに店を出す」こと。人口57万都市の八王子市内にも6店舗を構え、店内は客で賑わいを見せる。
インターネット上にありとあらゆる情報が行き交う現代において、人は、なぜ本を求めるのか。熊沢社長は本とネット情報の決定的な違いはプロによる「ファクトチェックがあるかどうか」と指摘する。広告収入目当ての虚偽・誇大情報など玉石混交のネット世界では、利用者に「真実を見抜く目」が求められる。一方で書籍は編集・校閲者など複数のチェックを経て世に送り出される。単に「本を売る」のではなく「信頼性の担保された情報を提供する」事がリアル書店の果たすべき役割の一つだ。
情報の取得方法についても、求める情報によって「場合分け」をする傾向が見られるという。コロナ禍には、外出控えから「自宅で簡単エクササイズ」といった「見ながら真似する」動画が流行し、レシピ動画を見ながら料理を楽しむ人も増えた。「簡単な料理や運動は、直感的に理解できるネット動画の方が重宝されるが、煮物やおせち料理など『しっかり学びたい』分野では、著名な料理人のレシピ本が今なお売れている」と熊沢社長は話す。
「出会える」のが書店
同社では、店内に日刊紙に掲載された「書評」の切り抜きを掲出し、その場に該当する書籍を陳列している。これは前会長の熊沢健氏の方針を受け継いだもので、「店内で書評を目にしたお客様が、その本に興味を持つ。お客様にとって読むべき本、“良い本”を手に取ってもらいたい」という思いからだ。
情報があふれる現代だからこそ、信頼できる本との出会いを提供するリアル書店の価値が再認識されている。
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