東京五輪・柔道の解説を務めたオリンピックメダリストの 松本 薫さん 多摩市内在住 34歳
「優しい着眼」もつ元野獣
○…解説業は2019年の引退直後から。「着眼点が良い」と評価され、現在仕事が増えているところだ。8月の五輪では日本選手の調子や心理を見極めた解説に「分かりやすい」との声を受けた。心がけていたのは、当人が聞いても「不快にならないように」――。現役当時、自身が強みとした勝負の駆け引きを「卑怯」と解説され、両親を悲しませてしまったことが背景にはある。「今回、日本選手は強かったです」
○…現在は現役時代所属した会社に残り、アイスクリーム店の運営に携わる。アレルギーに配慮するなど「身体に優しい」商品を提供する店で「看板」としてだけではなく、商品開発などにも関わる毎日だ。一方で店ではムードメーカー役も。「ボケ」て場を和ますのは現役の時からの役割でもある。「店は昨年から通販のみ。早く店を開きたいですね」。販売員の顔になりそう話す。
○…多摩の自宅では4歳の娘ともうすぐ2歳を迎える息子の育児に悪戦苦闘中。一緒に牛乳パックですべり台をつくり遊ぶなど、自身が好きなものづくりを通して子育てにあたるのが松本流だ。「ほぼ大変な毎日を過ごしています」と現役時代のニックネーム「野獣」からは想像もできない優しい顔に。「野獣はつくっていたんですよ」。世界で勝ち残るための手段だったと笑う。
○…子育て環境が良いと多摩へやってきて5年近く。「本当に暮らしやすい」と振り返る。息抜きになっている多摩川沿いのランニングでは顔見知りのおばちゃんたちに前日話した自身の解説について突っ込まれ、「街の人たちも温かい」と笑顔をみせる。「今、目指しているのは店を世界一にすることです」。今度は野獣を封印。笑顔で達成するつもりだ。
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