ドイツのパイプオルガン 海を越え 高座教会へ 7日の献堂式で音色披露
南林間のプロテスタント系の教会「カンバーランド長老キリスト教会・高座教会」に6月2日、約7tのコンテナを搭載した車両が到着した。中に梱包されていたのは、南ドイツ・ハイルブロンの福音メソジスト教会で27年間使用されてきたパイプオルガンが分解されたもの。7日に開かれる献堂式礼拝でお披露目になるため、全国から集まったオルガンビルダーが急ピッチで組み立てている。
少しずつ姿を現すパイプオルガンは教会関係者にとって待ちに待ったものだ。近所の人たちも噂を聞きつけ、組み立て作業を見ようと訪れる。
「ヨーロッパで実際に使われたパイプオルガンを分解して運び、組み立てて利用するというのは、大和では例がないのでは…」と話すのは、教会に隣接する高座学園高座みどり幼稚園の西村真教諭。西村さんは教会の礼拝堂を改修するため2011年秋に発足した、建設委員会(鈴木裕一委員長)のメンバーで教会の音楽奉仕委員会委員長を務める。樹木が広がる南林間の地で、終戦間もない1947年に設立された同教会。讃美歌の伴奏などに使われるパイプオルガンの設置は設立時からの願いだったという。
今回、耐震補強面などから礼拝堂の改修を実施するにあたり、パイプオルガン導入に向けた調査も同時に始めた。「オルガンは音楽を通してキリスト教の精神を知り、礼拝を支える楽器として位置付けています」(西村さん)。教会ではこれまで、ポジティフオルガン(箱型パイプオルガン)や電子オルガンを使っていた。
ヨーロッパでは教会の移転や閉鎖などに伴い由緒あるオルガンが分解され、新しい教会に移設されるというのはよくあることだという。今回、高座教会に移設されたパイプオルガンは、南ドイツのハイルブロンの福音メソジスト教会で1987年に製作されたもので、教会が統廃合で閉鎖されることに伴い譲り受けることになった。
オルガンは56鍵盤の3段で、足鍵盤は30。16種類の音色を奏でることができる。礼拝堂の改修設計にもオルガンの高さ(5・5メートル)や奥行き(3・5メートル)が反映されている。
専門家が集まる
オルガンの移設、組み立てを担当するのは、宮城県石巻市でオルガン工房を主宰する勝浦通之さん(57)。勝浦さんのオルガンビルダー歴は33年。国内で技術を取得した後、ドイツ、ハイルブロンの工房に勤務した経験も持つ。勝浦さんの元に全国から5人のビルダーが駆けつけ、チームで組み立てる。パイプだけでも1000個に分解されているパーツ類。熟練者たちにより繊細な楽器が蘇っていく。湿度の違いなどもあり、響きが馴染んでくるのに2、3年ぐらいはかかるという。
「献堂式礼拝」は6月7日、午後1時30分から開催される。高座教会【電話】046・274・1370。
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