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海老名・座間・綾瀬 人物風土記

公開日:2024.12.13

有馬中学校の平和学習でTSUNAMIバイオリンを演奏した
霜島 恵さん
元海老名市立小中学校勤務 61歳

奏で続ける元校長

 ○…広島原爆の「被爆ピアノ」が有馬中に来校する。この平和学習の手伝いをしていた時に「TSUNAMIバイオリン」が借りられることが分かり、貴重な合奏が実現した。バイオリン内部の「魂柱」には震災で残った「奇跡の一本松」が使われている。歴史をとどめ、響かせる2つの楽器のコラボ。「しっかり音を引き出さねばと。あまたの弾き手たちの思いも感じた」と語る。

 ○…大和市出身。4歳でバイオリンを始めた。自宅では父が仲間とピアノやアコーディオンの演奏に興じ、よくその輪に入った。国立(くにたち)音楽大学を経て教員になったが駆け出しの頃は試練もあった。授業中に生徒が静まらず、目をはなすと離席する。板書で背を向けるのも心配だった。「私という人間を見てもらうしかない」と向き合い続けるうちに雰囲気が変わった。仲間と高め合い、達成する。音楽の魅力を生徒が吸収してくれた。

 ○…海老名で30年以上働き柏ケ谷中や東柏ケ谷小では校長や教頭を務めた。忘れられないのは、学校の芝刈りやテント設営にも手を差し伸べてくれる地域住民の温もり。有馬中で働いていた時に東日本大震災が発生した。激しい揺れで長い廊下が波打った光景が目に焼きついている。3月の退職を期に友人とデュオを結成し、演奏の収益の一部を被災地支援にあてる活動を続けている。

 ○…南林間で夫の義明さんとカフェを営む。特技は編み物で、初孫のためにベビードレスを作った。この子や生徒たちが大人になった頃を想像すると「いい世の中にしたい」という思いが湧く。来年に向けて演奏や発表が続く。「泳ぎ続けるマグロみたいです。来年は終戦80年。自分たちにしかできない事を探し、発信したい」と誓う。序曲は始まったばかりだ。

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