市内新田宿在住の73歳、滝澤洋子さんがこのほど「日本百名山」を踏破した。かねてより登山が趣味だった滝澤さんは、母の介護や自身の闘病などを経て70代で一念発起。3000m級の山々にも果敢に挑み、過去2年間で41座を登頂した。
日本百名山は深田久弥による山岳手記。標高1500mを超える山々を北は北海道、南は屋久島にわたり紹介している。手記は多くの登山家に親しまれており挑戦する人も多いが、70代女性による踏破は珍しいという。
滝澤さんが初めて登山に挑んだのは21歳の時。家族とともに富士山に登ったのが始まりだという。以来、登山とは縁の薄い人生を歩んできたが、50代で自然と一体になれる登山の魅力に取りつかれ、気づいた時には百名山のうち51座を登頂していた。
しかし、母の介護などに追われるようになり、70歳を前に再び山とは遠ざかった生活に。母を見送った後には自身に初期の胃ガンが見つかり、闘病生活を余儀なくされた。
「入院中は身体を動かせないのが辛かった」と滝澤さんは振り返る。筋力衰退への恐怖から、看護師に隠れて早朝に病院の敷地内をウォーキングした。「元気になったら、百名山を全て登りたい」――。新たな目標を見つけ、足腰を動かし続けた。
以来、日本各地をめぐる日々が始まった。旅先では、標高2000〜3000m級の山々を3泊ほどかけて一気に2〜3座登頂。多いときには月に3回は登山旅行に出かけた。
そこにしかない絶景求めて
登山の魅力は、山でしか出会えない景色を楽しめることだと滝澤さんは話す。「標高2000mを超えると景色が変わるんです。ニッコウキスゲやマツムシソウが一面に生い茂って、さながら自然の庭園」。更に登ると雲は眼下に広がり、また別の絶景が現れる。「登山は大変だけれど、素晴らしい景色と出会うと疲れも忘れられる」
ゆっくりと、確実に
最難関は、今年8月に登頂した、標高2999mの剱岳(つるぎだけ)。身長150cmに満たない滝澤さんにとって、大きな岩場続きの登山は困難を極めた。「岩を這うようにして一歩ずつ、ゆっくりゆっくり進んでいって。通常の1・5倍くらいの時間をかけて登りました」。苦労の連続だったが、剱岳から見上げた満点の星空は一生ものの景色になった。
最後の1座は、新潟県の苗場山。決して難易度の高い山ではないが、あえて残した。「この辺りは主人の生まれ故郷で。まだ子どもが小さかった時に、家族で途中まで登ったんです」
登頂の報せを受け、山でであった仲間からもお祝いの言葉が次々に届いた。「皆私より歳が下の人ばかりなんだけれど、凄く良くしてくれました。家族に友人、色んな人に支えられ、初めてできたこと」。今後は身近な山に登り続けながら、応援し続けてくれた夫とともにゆったりと旅行を楽しむ予定だという。
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