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厚木医師会 すこやか通信【4】 乳がん検診について 東名厚木病院 副院長 日野浩司

公開:2017年10月20日

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日野浩司医師
日野浩司医師

 乳がんへの関心が高まっている時と思います。お友達との会話にも乳がんについての話題が一度や二度は出たのではないでしょうか。乳がんは怖い、でも検査して乳がんと言われることを想像するともっと怖い、だから検査は受けていない。そう思っている人も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

罹患率、死亡率ともに増加傾向

 さて、乳がん検診は何のために行われるのでしょうか?乳がん検診は、乳がんで亡くなる方を少しでも減らす目的のために行われています。アメリカでは1980年代から乳がんの罹患率(乳がんになる割りあい)は増加しているものの、死亡率(乳がんで亡くなる方の割りあい)は減少しています。一方日本では、罹患率、死亡率ともに増加しています。(もっとも数字的にはアメリカの半数程度です。”アメリカ人の方が乳がんになりやすいといわれています”)

 この差はいったい何故なのでしょうか。

 アメリカの乳がん検診率は60〜80%となっています。それにひきかえ日本では30%程度となっています。乳がんの死亡率を下げるためには、50%以上の検診率が必要だといわれており、日本ではその水準にまだまだ達しないのがその理由とされています。

2年に1回マンモグラフィー

 厚木市での乳がん検診は30歳以上の女性に視触診での検診、40歳以上の女性に2年に1回マンモグラフィー検診(視触診も含む)が行われています。これらの検診内容は神奈川県内でも市町村により異なります。

 厚木市での乳がん検診状況をみてみると、平成27年度の40歳以上の女性人口は6万4268人となっています。平成27年度にマンモグラフィー検診を受けた人は3313人です。2年に1回なので女性人口の半数の方(6万4268÷2=3万2134名)が対象と考えても3313÷3万2134=0・103で約10・3%の方しか検診を受けていない事になります。この数字は対策型検診(いわゆる厚木市が行っている集団検診)のみの数字なので、会社の検診を利用している方や自分で人間ドックを行っている方を含めると約30%程度となります。それでも死亡率を減らす検診率50%以上には達しません。

検診の歴史

 そもそも対策型検診(行政が行っている検診)はどのようにして始まったのか、その歴史を見ていきましょう。

 現在、乳がんに関する情報の多くは、日本乳癌学会から発信されています。その乳癌学会の前身である乳がん研究会は1964年に発足しました。各地で独自の乳がん集団検診が開始される中、乳がんの集団検診に関する検討会が行われ、最終的には1987年に乳がん研究会による『乳癌集団検診の手引き』が刊行され、老人基本法による保健事業として、いわゆる乳がん検診が全国で開始されました。もちろん始まったばかりの乳がん検診は視触診で導入され、マンモグラフィー検診の開始は2000年まで待たなければなりませんでした。1980年代からマンモグラフィーはありましたが、闇夜のカラス状態で読影するには気合が必要で、あるような、ないような影を一生懸命に観察した記憶があります。マンモグラフィー検診の導入は、機器の進歩に伴う所もありますが、マンモグラフィー検診制度管理中央委員会(精中委)の設立(1997年11月)が大きく寄与しています。医師、レントゲン技師のマンモグラフィー読影能力の底上げが、検診を可能にしたといっても過言ではないでしょう。しかし、この読影認定試験はかなり厳しいものになっており、合格率が50〜60%なんてこともあるようです。当初は乳がん検診の対象は50歳代以上となっていましたが、2007年がん対策基本法で40歳代以上が対象となり、現在に至っています。つまり現在のマンモグラフィー乳がん検診が確立されてから、まだ10年しか経っていないのです。ところで昨年、視触診のみの乳がん検診は推奨しないとの厚労省の指針が発表され、マンモグラフィーの重要性が再確認されました。(これは、視触診のみの検診では乳がん死亡率が低下しないとの報告から発表されたものですが、全く無意味な検査となった訳ではありませんので、注意が必要です)

マンモグラフィーの弱点とは?

 次にマンモグラフィーの弱点にも触れておきましょう。マンモグラフィーは重要で有用な検査ではありますが、日本人に多い高濃度乳腺の診断は困難であることも最近広まりました。まず、マンモグラフィーの所見では乳腺の付き方(量や密度)の違いで4段階に分類されます。【1】高濃度 【2】不均一高濃度 【3】乳腺散在 【4】脂肪性―の4つです。乳がん(腫瘤)は一般的に高濃度に写るので、背景が高濃度の乳腺の場合には、わかりづらい、診断しづらいと言われています。不均一高濃度の乳腺も同様です。散在性、脂肪性の乳腺は背景が比較的暗いので、白く写る乳がんは診断しやすいと言われます。

 ざっくりいうと、高濃度、不均一高濃度の人は乳がんがわかりづらい、乳腺散在、脂肪性の人はわかりやすい、という事です。背景の乳腺濃度によっては診断が難しい事もあることを知っておいて下さい。

再検査は8〜10%

 今年から厚木地区で乳がん集団検診(マンモグラフィー)を受診された方は、この分類が行われていますので、参考にして下さい。

 また、乳がん検診を受けた方のうち、要精検(いわゆる再検査の通知がくる事)の割合は8〜10%程度の人です。要精検者のなかで乳がんと診断される方は約5%です。(受診した人全体の0・3%です)精密検査の連絡がきても、乳がんと決まったわけではないので、落ち着いて医療機関を受診してください。(受診する科は外科もしくは乳腺外科です。)

超音波検査について

 一方、超音波検査は、背景乳腺に係わらずしこりがあれば、腫瘤として描出されるといわれています。しかし、現段階では、超音波検査は施行者により技量がまちまちなため、日本乳がん検診精度管理中央機構が、その技術を一定に保つ対策を行っています。また、超音波検査を検診に組み込んだ市町村も出てきましたが、実はまだ乳がんの死亡率を改善させるかどうかが確定していません。現在J―STARTという大規模な超音波検査が死亡率に貢献するかの治験が全国で行われている最中です。この結果によっては、将来超音波検査が乳がん検診に組み込まれる日が来ると予想されます。

 乳がんの事が分かってくるにつれて、乳がん検診も変化し、対応していることが理解して頂けたかと思います。

検診・予防早期発見が大事

 最後に、マンモグラフィーでの乳がん検診は決して怖い検査ではありませんが、乳腺の被爆を抑えるためや、診断効率を上げるために強く圧迫する必要があるため、痛みを強く感じる方がいらっしゃるのも事実です。体全身の力を抜いてリラックスするのが、”こつ”です。何かあれば、レントゲンの技師さんに相談ください。

 女性の皆さま、ぜひ2年に1回はマンモグラフィー乳がん検診を行い、乳がん予防を実践し、乳がんの早期発見を心掛けましょう。

一般社団法人 厚木医師会

厚木市厚木町6-1

TEL:046-222-1259

http://atsugi-ishikai.or.jp/

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