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厚木・愛川・清川 人物風土記

公開日:2024.09.27

10月6日に愛川町文化会館で開く歴史講演会の講師を務める
小島 瓔禮(よしゆき)さん
愛川町半原在住 89歳

最大の幸福は日々の執筆

 ○…愛川町文化会館で10月6日に開かれる歴史講演会の講師を務める。琉球大学で教鞭を執り2001年に退職、同大学の名誉教授でもある。民俗学者の柳田國男に憧れ、民俗学を専攻する。柳田國男は日本の民俗学の開拓者とも言われる人物で、全国各地の農村調査をする役人でもあった。「当日は柳田先生が明治時代に調査のため半原を訪れ、宿泊した半原の旧家に送った礼状を持参し、半原と柳田先生との関りを話をします」

 ○…川崎市生まれ。戦時下だった小学3年生の時に、明治時代からある半原の父親の生家に母と2人の妹と共に川崎から学童疎開した。厚木高校在学中には「子どもの頃から昔ながらの風習や伝承が不思議で仕方がなかった」と、学友と一緒に民俗学を学ぶ集まりを学内に作った。父親と兄は川崎に残り暮らしていたが、父親が家族6人で住む家を川崎に用意したため、高校2年生の時に半原を離れることとなった。

 ○…引っ越し後の半原の家は、長らく人に管理してもらっていた。琉球大学退職後に家を探す中で、人に預けず再び半原の家に住むことを決めた。「中学生時代に庭にあった大きな柿の木に登り、木の上で大声で思春期のモヤモヤした胸の内を歌で発散していたこともあった」。思い出の詰まった家は建て直し、妻と住み始めて20年以上が経つ。

 ○…家族は、妻と独立した子ども3人と孫6人。以前に単行本として出版した本の文庫化が決まり現在、11月の発行に向けて本を編さん中だ。広い畳の部屋に置かれた机の上にも畳の上にも執筆途中の原稿の束や資料の本が広がる。「古い本だから見直す箇所が多くって。でも本をめくり執筆するのが僕の一番の幸せ」とほほ笑んだ。

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