今月11日に自主映画会「地球交響曲」を開催する「16ミリ試写室」の会長 松澤 澄江さん ハイランド在住 74歳
「映画を楽しむ」シンプルな想い
○…大きなスクリーンに映し出される映像と機材の音―。騒いでいた子どももじっと見入って静かになり、上映を心待ちにしていたお年寄りは笑顔に。映像のデジタル化が進む中、あくまで「16ミリフィルム」にこだわり35年。市内の老人ホームや図書館などで開催する「映画会」は年間130回を超える。
○…1970年代、行政が生涯教育に力を入れ始めた時期。市主催の「16ミリ教室」に参加し、映写機操作技術認定書を手にした母親たちが「16ミリ試写室」を立ち上げていた。同時期、地元ハイランドの子ども会で映画会を企画した際、この「試写室」に上映を依頼。手作りの素敵な映画会となった。「フィルムと技術があれば、屋外でもどこでも映画館に変身できる。みんなで観る楽しみを共有できたら」と、自らも技術講習を受けて入会。「今や(映写機は)古代の遺物だけど、自分の手で映し出す楽しみもあるの」と微笑む。
○…現在の会員は女性ばかり17人。使用フィルムは市の視聴覚ライブラリーなどで借り、依頼に応じて作品を選ぶ。娯楽性のあるものや新作は映画館やテレビでも楽しめる。「心に残る名作や、自然、子どもを扱った作品を次世代に繋ぎ、大切にしたい」というのがメンバーの共通意識だ。思えば社会人になりたての頃の楽しみは、仕事後の映画鑑賞。伊・仏映画まで名作と言われるものはほとんど観た。『風と共に去りぬ』に心躍らせた当時の話をする横顔は、まるで少女のよう。映画で得た楽しみや夢、映像の美しさ―。それは時を経ても変わらない。
○…「若い母親の力になりたい」と子育てサロンを運営、他にも地区社協やボランティアで日々の予定はぎっしり。「私自身の子育ても地域の人にたくさん助けられたから。自分のできることで還元したい」。「試写室」がテーマソングに掲げる唱歌『ひとりの小さな手』のように”何かできるはず”という思いを胸に。
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