市内に約2万棟あるとされる空き家の所有者らに対して、適正な管理を求める条例案が、開会中の横須賀市議会第2回定例会に議員提案された。措置命令に従わない場合の行政代執行や罰則についても盛り込んでいる。空き家が放置され管理できなくなることを未然に防ぎ、行政が事務執行をするための環境整備が狙い。今年10月からの施行をめざしている。
3会派から議員提案
市議会で審議されている「(仮称)横須賀市空き家等の適正管理に関する条例案」は、新政会、公明党、研政の3会派から提案された。今月11日の本会議で青木哲正議員(新政会)が提出者を代表して内容や提案理由などを説明した。
市内の空き家の戸数(今年2月時点/統計調査から推計)は、戸建てと共同住宅を含めて2万2190戸。谷戸地域を中心に所有者が特定できなくなったり、修繕・解体費用が工面できずに放置されたりといった理由で、空き家になるケースが多い。放置された状態が続けば、倒壊の恐れや治安の悪化、交通の障害になることなどが懸念されている。青木議員は11日の本会議で、空き家の問題は「喫緊の課題」と述べた。
条例案では、所有者に対して空き家が老朽化により倒壊したり、火災や犯罪を誘発したりという状態にならないよう、9項目にわたる管理を求めている。
これらに違反する所有者に対して市は、指導、勧告、措置命令と段階を踏み、正当な理由なく命令に従わない場合は、氏名や住所などを公表。また、「著しく公益に反すると認められるとき」は行政代執行を行うことを規定している。その費用は、所有者から徴収する。さらに、必要な措置を講じなかった者に対して5万円以下の過料を科す罰則規定も盛り込んでいる。
代執行は「市民への意志表示」
条例案に対しては、本会議や生活環境常任委員会で質問が相次いだ。
一柳洋議員(ニューウィング横須賀)は、家屋を撤去した場合に固定資産税の軽減措置がなくなることから「所有者にとっては実質増税になることへの配慮が見られない」(11日本会議)と指摘。また、永井真人議員(無所属クラブ)は、条例化の動きが全国的に広がる中、「行政代執行を盛り込まなくても、(所有者を特定し適正に管理させるための)効力があるのではないか」(15日同委員会)と質問した。
これらに対して青木議員は本会議や委員会で「撤去すべきと判断される家屋は、所有者が長年管理義務を放棄して近隣住民の日常生活に大きな不安感を抱かせるに至った。そのような所有者に税の減免の特例がなくなったことを配慮する必要があるのか」と答え、行政代執行については「市民に対して(市が空き家問題に取り組んでいることの)意志表示として、あえて規定した」と述べた。また、岩沢章夫議員(公明党)は、「代執行が目的ではない。行政が義務を果たすための担保があって初めて問題を解決できる」と説明した。
同条例案は、26日の本会議で採決が行われる見通し。
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