今月16日に行われる「灯籠流しの会」を主催する、「横須賀流灯会」の会長 加藤 誠一さん 小川町在住 74歳
継いだ灯り消えぬよう
○…1300基もの灯籠が、三笠公園の沖合にゆらりゆらりと浮かぶ―。「『流す』ことには『仏様がお帰りになる』という意味が籠められているんですよ」。30年ほど前から水に溶けやすい特殊な紙を使い、環境面にも配慮。昭和21年から始まった「灯籠流しの会」は今年で68回目を迎える。「形はだいぶ変わったけど、先人を偲ぶ気持ちは変わらないからね」と長い歴史に思いをはせる。
○…現役時代は証券マン。”数字とにらめっこ”する日々が続いた。流灯会の会長を務めていた父親を手伝う暇もないほど忙しかった。しかし月日が経ち、押し入れから灯籠用具を出すのも大変そうな父親の小さくなった背中に気づいた。「誰かが(父を)支えてやらなきゃ」。自分の定年退職を機に、少しずつ同会に参加するようになった。幼いころから灯籠流しに携わる父を見てきたから、自分が継ぐのが自然な流れだったという。
○…会長に就任して今年で8年目。毎年3千人もの人が闇夜に浮かぶ灯籠を見にやって来る。それだけ地元に知られた伝統的な行事だ。しかし今年、灯籠の仕入れ先を変えることになり新しい業者探しに奔走。「特殊な形なので製造できるところを探すのが大変だったんですよ」と振り返る。条件に合うところが見つかったときはホッと胸をなでおろした。
○…現在の楽しみは妻との旅行。妻との出会いも「山歩きの会」だった。週末に夜行列車に飛び乗って山を目指し、家に帰らずそのまま出社することもあったという。「背広なんかは、会社にこっそりと置いといてね」。物腰は柔らかいが行動派の一面がみられる。父親もアクティブだった。当時はまだ珍しい登山愛好家で、まだ整備されていない山道を果敢に登ったという。灯籠も行動力も父親から受け継いだもの。「父と比べるとまだ全然ですよ」と笑うが、父親の背中に着実に近づいている。
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