定数41に対して54人が議席を争った横須賀市議会議員選挙。4月26日に投開票が行われ、トップ当選は上地克明氏。現職31人が議席を確保し、新人10人が当選を果たした。投票率は前回(2011年/47・98%)を下回る46・59%。期日前投票率は伸びていたものの、全体的な底上げにはつながらなかった。各候補者たちは何を訴え、どのような選挙戦を展開したのか。その動きを追った。
地域と世代の代弁者に
「明るく新しい風を吹かせたい」と決めたイメージカラーはピンク。その色のダルマに目を入れ「継続は力になる」と話した新人の小幡沙央里氏(29)。得票数で2位に躍り出ると、池上の事務所では地元支援者らに熱い祝福を受けた。
今回の選挙で唯一の20代候補。市議会史上2人目の20代女性議員が誕生した。「名前と顔だけでなく、自分の考えを伝えたい」。昨年半ばから始めた駅立ちで配った「おばちゃん通信」は計7号。教育支援団体やボランティアでの経験をもとに、市の現状や課題を分かりやすく訴えた。ポスティングの枚数は10万枚以上。初めての選挙戦、どこまで思いが届いているのか、不安に駆られることも多かったという。
当選者の平均年齢は52・56歳。人口減が叫ばれる中で、これからの横須賀を担う世代であり、「地域の声の代弁者」という自負がある。「今日がスタート。地域と横須賀のためにしっかり働きたい」。周囲の期待を背に、29歳の1年生議員が一歩を踏み出した。
先鞭つけた給食・ハコモノ
1期目の挑戦から1200票近くを上積みして当選を果たした小林伸行氏(39)。「(小林の)仕事ぶりなら大丈夫」。支援者が集まった事務所では、当確前から余裕の雰囲気が漂っていた。「中学校給食の導入」と「公共施設(ハコモノ)のリストラ提言」。本人にも市政の中で2つの議論を大きく前進させてきた自負があった。
政策の”一丁目一番地”とする中学校給食は自ら先頭に立ち、保護者らに導入の是非を問うアンケートを実施。9割が賛成する結果をテコに議論を土俵に乗せた。市内に点在する公共施設の供給過剰もいち早く指摘。利用状況などを入念に調べあげ、コスト削減を市に迫った。
市政の課題の「見える化」にも取り組んだ。平易な文章で市政の課題を洗いざらいにして発信するチラシを発行。公聴会も精力的に行ってきた。今回の選挙前には、プロジェクターを使った街頭プレゼンで、市が作成した「施設配置適正計画」の問題点をスクリーンに投影しながら解説。「計画は市民の声をもとにつくるもの」と見直しを訴えた。
空母の安全性 問い続ける
37番目の議席獲得に「ハラハラした」と胸をなでおろした。2期目の当選を果たした山城保男氏(67)が訴え続けたのは、原子力空母などの基地問題。「4年前の原発事故が風化しつつある今だからこそ、政府・米軍に空母の安全性を問わなければ」。今秋、米海軍基地に配備されている空母が交代する。「これを機に『基地のまち』を考え直してもらいたい」と熱を込める。
候補者の多くが掲げたのは、子育て支援や人口増加策。基地問題に言及した陣営は少数だった。背景には「市民、特に若い世代の関心の薄さがうかがえる」という。支援者の男性は、「どんなに住みよい制度が充実していても、原子力事故が起きれば一瞬で終わり。市民の不安の声を議会に届けてくれるのは山城さんだけ」と話した。
先ごろ、空母の災害対策基準に関する要請書を外務省に提出した吉田市長の姿勢に、大きな期待を抱く。執念で勝ち取った議席。脱原発社会を説く市民講座をライフワークに、横須賀の安全に目を光らせる。
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