中世時代に築かれた山城の歩き方、楽しみ方を伝える 宇野 睦さん 久里浜出身 37歳
「想像の余地」山城(やまじろ)の魅力
○…自らを「山城ガール」と名乗る。中世時代に山や丘を利用して築かれた戦闘用の城に強い興味を抱き、研究の傍らで、一般向けのガイドツアーなどを手掛けている。大半の人は「『山城』って何ですか?」。こう質問されればしめたもの。「天守閣のない土で盛られた城は全国に無数あります」。豊富な知識をひけらかすことなく、淡々と解説。イラストを配した手描きのガイド冊子を手渡して関心を引き寄せる。決めのセリフは「ハイキング感覚で巡ると楽しいですよ」
○…山城に魅せられたのは社会人生活を送るようになってから。学生時代は「大の歴史嫌い」。文字や数字の羅列でしかなかった歴史上の出来事が、小説を読むことを通して、人間たちのストーリーとして捉えることができた。期を同じくして旅行で訪れた琵琶湖の近くの小谷城。山を登って尾根を進んだ先に、広大な石垣が広がっていた。池の向こうには馬場があった。「そこに立った時に、当時の人の姿が見えた気がしました」。以来、人々の営みの痕跡を探し、触れることに喜びを感じるようになった。
○…全国津々浦々ある山城をこれまで400近く自分の足で巡った。文献をあたって調べを進め、実際に訪れてみる。まったく整備されていない場所も少なくなく、長靴が必需品。夫や家族からは「1人で崖から落ちても誰も助けてくれないよ」と冗談交じりにとがめられるが、知的好奇心はとどまる気配がない。
○…山城の楽しみ方を伝える伝道師を志している。ガイドや講演の依頼が舞い込み始めるなど、ブームの兆しも感じている。若い世代を呼び込むために、SNSやブログも駆使。発信を強めている。山城の数は県下で400、三浦半島でも20カ所はくだらない。「浦賀城に芦名城、周辺散策も絡めたツアープランはもう何本もできています」
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