横須賀市が2016年度で廃止の方針を示している「市史編さん係」について、編さん委員を務めた大学教授などから存続を求める声が上がっている。会期中の第3回定例会に請願が提出され、9日の総務常任委員会で賛成多数で採択された。吉田雄人市長は「(新横須賀市史)全15巻の刊行でその使命を終えた」と発言するなど、頑なな姿勢を崩しておらず、その行方に注目が集まっている。
委員会で存続請願採択
市史編さん事業は2007年の市政施行100周年を記念して始まったもの。横須賀の古代から近現代までを網羅する本格的な市史の刊行を目的としており、2014年度発行の全15巻をもって終了していた。
市民にも資料提供を呼び掛け、関連書籍約1万5千冊、古い街並みがわかる写真約1万3千点、明治から昭和初期の新聞記事のファイル約550冊を収集したという。
編さん業務は、大学教授など学識経験者などが参加する委員会方式で進められ、活動はすでに終了。現在は市の職員が市役所分館に設けられた事務室で保管業務などを行っている。市は10月以降、収集した資料を中央図書館と市自然・人文博物館に移管して、市史編さん係を廃止する考え。今年度予算に運搬などの移管経費として約500万円を計上している。整理作業を終えるまでに3年間を要するとしている。
2日の本会議で質問に立った公明党の二見英一議員は「膨大な資料を移管することで生じる公開・活用への影響や調査研究の停滞を危惧する」と発言。これに対して吉田市長は「図書館と自然・人文博物館は保管環境が整っている。専門対応が可能な司書と学芸員も揃っており、作業期間であっても市民対応はできる。移管の判断は適当」と答えた。二見議員は「永続的に調査研究を行う約束を反故にされて、編さん業務に携わった委員から失望が広がっている。市制120周年、150周年に向けて対応できるのか」と食い下がったが、「8人の学芸員と既存の資源を活用することで、保管・研究できる」と態度を変えることはなかった。
一問一答で二見議員は、吉田市長が議員時代に10億円を投じて行われる市史編さん事業に否定的な発言をしていたことにも触れ、「根底にそうした思いがあり、廃止の決断をしたのではないか」とけん制する場面もあった。
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