エンタメ・スポーツで街を動かす―。上地克明市長が唱える主要政策が動き出した1年だった。横浜DeNAベイスターズの2軍拠点開設(追浜)、横浜F・マリノスの練習場誘致(久里浜)など、今後の街づくりに大きな影響を与えるもので、人口40万人を割り込んだ横須賀を覆う閉塞感の打破が期待される。突如発表されたうわまち病院の建替え方針決定も市民の関心を呼んだ。1年間を振り返り、注目の話題を書き出した。
【市 政】
上地市長の「スポーツ・エンタメ都市構想」が具体的な動きを見せた。追浜で整備が進む横浜DeNAベイスターズの2軍拠点開設に向けて、市・横浜DeNA、京浜急行電鉄の3者が協定を交わし、「スポーツを核としたまちづくり」に取り組む。来年6月に完成予定の施設名は「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」に決定した。市はこれの代替地として夏島町に軟式・ソフト専用グラウンドを新設。来年3月には佐原2丁目に野球場も完成する。
サッカー・J1リーグ、横浜F・マリノスの練習拠点をJR久里浜駅周辺に誘致する方針が発表された。2022年の供用開始をめざして、同チームなどと協議が進められている。マリノス運営会社の呼びかけで、チームと地域をつなぐアイデア会議も市民有志の参画でスタートしている。
音楽をテーマにした地域活性策として、横須賀発の若手アーティストを発掘する公開オーディションが行われ、17歳の高校生がグランプリを射止めた。大手レコード会社から楽曲配信される予定だ。商店街の一角や駅前の公共スペースなどで路上ライブを積極展開する「ヨコスカ街中ミュージック」も賑わいづくりに一役買っている。
「終活」の言葉が人口に膾炙する中、市は墓の所在地やエンディングノートの保管先などの本人意思を事前に登録する事業を開始。全国的にも珍しい取り組みが耳目を集めた。これまでに相談は400件、登録は80件。出前トークや講演も盛況で市民ニーズは高いという。
堀口大學作詞、團伊玖磨作曲の「横須賀市歌」を再評価する向きもあった。防災無線のチャイムやごみ収集車のアナウンス音楽に採用されたほか、上地市長が成人式でロック調のアレンジを披露して周囲を驚かせた。
防衛省・自衛隊の船越新庁舎整備計画の中に、ヘリポート設置が含まれていることが分かった。場所は田浦中に近接しており、道を挟んで150mの距離。説明会で騒音や事故を不安視する市民の声が聞かれたが、同省では決定事項としている。
上地市長がうわまち病院の移転建替えの方針を示したのが8月。老朽化や患者受け入れの限界を理由としている。2院体制の維持も同時に発表した。病院が立地する上町地区では、移転再考や移転後の地域振興を求める声が上がっている一方、多くの市民は移転先に関心を寄せている。
市議会は議員定数を見直して現行の41から「1削減」する決定をした。来春の市議選では40の議席をめぐって、激しい戦いが繰り広げられそうだ。
【経 済】
観光振興策として日本初のトンネルカードを市が発行した。市内飲食店と連携し、トンネルを想起させるグルメメニューも開発。この分野の第一人者や愛好家を招いたシンポジウムは盛況だった。
”旬産旬消”を掲げる産直販売店「よこすかポートマーケット」について、運営するシティサポートよこすかが来年3月に撤退する決定をしたが、出店者有志らによって1年間の期限付きで運営される見通しとなった。以降は市が新形態の施設を展開する予定。
深浦湾で採れる厚みのあるアサリを使ったご当地丼「深浦丼」が登場。深浦漁港の漁師と追浜の飲食店が地域活性を狙って取り組んだ。好評を得て、来年2月頃に深浦アナゴの新メニューも投入予定という。
東京湾に浮かぶ人工の無人島「第2海堡」を訪れるクルーズツアーが試験運航された。上陸して砲台跡や煉瓦の掩蔽壕(えんたいごう)などの公開を想定。旅行会社が企画したツアーはどれも定員を上回る人気となった。先ごろ来春の本格実施が決まった。
猿島活用の新展開もあった。夏には大手音楽会社のエイベックス・エンタテインメントの企画で人気DJによるビーチパーティーが開かれた。情報感度の高い若い世代を意識した集客策。市では来年も継続したい考え。
【スポーツ】
県内40の市町村で競われる「かながわ駅伝」でチーム横須賀が悲願の初優勝を遂げた。
イタリアで開かれたフィールドアーチェリーの世界選手権で社会人アスリートの大貫渉さん(サガミ所属)が頂点に立った。2020年の東京五輪出場に期待が高まる。
大津中陸上部が女子4×100mリレーで県制覇、全国大会初出場を決めた。本番では準決勝に進出した。注目を集めたのは1年生の税田ジェニファー瑠美選手。県の中学1年女子100m記録を更新。県大会のリレーでは、5位で受けたバトンを4人抜きの快走で優勝に貢献した。
高校年代では三浦学苑の躍進が際立った。男子サッカー部、男子卓球部、女子弓道部の新田加音さんがインターハイに出場。女子バレー部は来年1月の「春高」に挑む。同校では、スポーツ関連の環境充実を進めており、校舎のある向かいの用地を取得してテニスとバスケットボールの多目的運動場を整備している。
【文化・社会】
市中がスマホを持って歩く人たちで溢れたのが8月末。「ポケモンGO」の横須賀イベントでは「トレーナー」として約20万人が訪れ、市の調査で約15億円の経済効果があった。
横須賀ならではの文化を発信しようとスカジャンのPRも目立った。2月にはドブ板通り商店街で「発祥の地宣言」が行われた。民謡協会では、「スカジャン音頭」の普及に乗り出している。
「地元の特長をわかりやすく発信しながら、歴史や名物を学ぼう」と学生発案の企画が実現。市民有志が「横須賀カルタ」を製作し、7月に商品化した。今後は商店街と連携したカルタ大会なども検討中だという。
昨今、国内で広がっている子ども食堂。市内各所で、余った食料品等を募る「フードドライブ」のイベントも行われている。池上で市民有志が運営している子ども支援拠点の「よこすかなかながや」では、4月から朝食の提供を開始。毎朝、5人前後の児童生徒が朝ごはんを食べて登校しているという。
小学校給食メニューを自宅でも楽しんでもらおうと市では3月、料理アプリ「クックパッド」でレシピを公開。12月には自慢の給食のメニューを審査する「全国学校給食甲子園」に池上小学校が出場した。三崎マグロのタレかつ丼や磯和えなどの自校メニューで高評価を得て、「女子栄養大学特別賞」を受賞している。
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