ボランティア団体「ゆいの広場」代表で認知症カフェ「 ら・らら」を運営する 石塚 千津子さん グリーンハイツ在住 72歳
ともに楽しみ助け合う場
○…毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー」。テーマカラーであるオレンジ色の衣類を身に纏った人たちが全国各地で認知症について啓蒙活動する。ただ今年はコロナ禍で関連イベントが軒並み中止に。そんな状況下にありながら認知症カフェ「ら・らら」の運営をグリーンハイツ集会場で続ける。「待っている人がいる限り、止める訳にはいかない」。橙色の髪が秋風に揺れる。
○…京急長沢駅前に広がるグリーンハイツは開発から40年以上が経過。近年では、約1千世帯ある居住者の高齢化が進み、独り暮らしの高齢者の姿も目立つ。「住民同士で生活を支え合えないか」と、2013年にボランティア団体「ゆいの広場」を設立。ごみ捨てや掃除、買い物などを代行する。「高齢者が外出するきっかけ作りに」と、5年前には認知症カフェも開設。地元ミュージシャンを招いたライブでは、参加者が遠い記憶に思いを巡らせ、話に花を咲かせる。「音色に酔いしれ、生き生きとした表情を浮かべる皆さんを見ると元気をもらえる」
○…横浜生まれ、川崎育ち。幼い頃から歌うことが好きだった。表現の場を求め、高校時代には同級生と孤児院を訪ね、人形劇を披露。「今の活動に繋がる原点」。奉仕の心が芽生えた瞬間だった。短大卒業後、会計事務所などに勤務。結婚を機に当時完成したばかりのグリーンハイツに移住し、子ども2人を育てた。
○…現在は夫婦だけで暮らす。自身と同じように子どもたちが巣立ち、年を重ねた住民と積極的に交流を図る。「市民活動は近所付き合いの延長。信頼関係が大切よね」。来年5月の団体設立10周年に向け、映画上映会を企画中。「やりたいことは山ほどある。私が楽しいと思うことを多くの人と共有したい」
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