横須賀市は虐待被害などにより、単身生活を余儀なくされている生活困窮の大学生等への支援制度を新たに設ける。財源は市の「よかった ありがとう。」基金を活用。1月24日の市議会教育福祉常任委員会で報告された。
制度の概要は、大学などへ進学後、生活困窮等で児童自立生活援助を受けている人(自立援助ホームに入所している人)に当面の必要な費用を支給する内容。創設の背景には、生活困窮に陥った学生への支援が急がれていることにある。現行の制度では、生活保護を利用しながらの大学等への進学は認められていない。世帯分離や進学準備給付金の支給などで進学自体は可能となっているが、奨学金やアルバイトなど、生活の維持が厳しい学生も多い。
「就学意欲」摘まない
市内では、大学進学後に家族からの虐待等を受けて民間シェルターに避難し、病気療養していた学生が困窮状態に陥るケースがあった。大学の休学により一時的に生活保護が適用されたが、復学すると打ち切られてしまうため、退学か休学を迫られる状況にあったという。こうした現状から昨年12月、虐待を受けた子どもを支援するNPO法人の代表らが上地克明市長を訪ね、生活保護制度の柔軟な運用を訴えるとともに市の支援を要望。市は「将来を担う若者の就学意欲を行政が摘んではいけない」として、来年度から独自の制度を設けることとした。
対象は大学・短期大学・専門学校等に在籍し、満20歳に達する日の前日までに自立援助ホームに入所していること、市の児童相談所との連携が条件。支給期間は最長1年半で、生活費として生活保護基準相当額(月7万円程度)と通学費の実費を支給する。財源は市民からの寄付をもとに市が昨年6月に創設した「よかった ありがとう。」基金を活用する。
運用期間は国の制度改正までを想定しており、2022年度予算として3月定例議会に上程。市では今後、生活保護制度の柔軟な運用と見直しについての要望書を厚生労働省に提出する予定だ。
高校生の進学も支援
困窮学生への支援に先立ち、市は看護師や保育士の資格取得を目指している生活保護世帯の高校生等への就学支援も始めている。入試対策の費用を補助金として支給するほか、学習支援員がサポート。入学後は学習に関わる費用の支給のほか、世帯における生活保護費の減額を補うなど、進学と資格取得を後押しする。昨年9月議会で議決したもので、27年までの事業。この財源も同基金を使っており、安定的な就労と生活保護からの自立を支援している。
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