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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2022.12.16

ドブ板通り「ファースト商会」店主でスカジャンの刺繍を手掛ける
松坂 良一さん
本町在勤 92歳

「発祥の地」で守る刺繍技術

 ○…横須賀美術館で開会中の「スカジャン展」の影響か、鑑賞帰りに立ち寄る人、オーダーに来る人が増えたという。ドブ板通りの「ファースト商会」でスカジャンの刺繍を手掛けるようになってから、もうすぐ40年になる。

 ○…米軍人の土産物として発展した「スカジャン」。実は自身も米軍基地に縁があった。出身は山形県の東根市。戦前、日本軍の航空隊基地があり、戦後は進駐軍のキャンプに。その中にある食堂や倉庫で働き、返還後はここに移駐した自衛隊で勤務し、県外の駐屯地へ。数年後、横須賀で暮らしていた姉を頼ってこの地にやって来た。仕事を探して出会ったのが、米軍人向けの土産物屋。英会話ができたこともあり、店での接客・販売を担当した。

 ○…ドブ板で自分の店を持ったのが80年代。スカジャンだけでなく半纏などに「ネームを入れてほしい」という客からの要望にすぐに応えるため、自ら横振りミシンを購入し、刺繍技術を習得した。下絵を生地に写す手法も「ガリ版」などを使って独自に編み出した。昨今ではコンピュータミシンの商品も増えているが、横振りミシンの魅力は刺繍の厚みと立体感。「スカジャン制作は刺繍だけでなく生地の仕立てなど様々な工程がある。県外からのオーダーも多く、大切に着てくれているのは嬉しい」

 ○…最近は朝少し遅めに店を開け、夕方まで接客をしながら作業をするのが日々のルーティン。店名を「ファースト商会」とした理由を「1号店という意味で2店目を出したいと思ったけど」と苦笑い。3年前に妻を亡くし、店をひとりで切り盛りする。先月、92歳になったばかり。「世界で一つだけの1着」を待っている人のためにミシンを踏み続ける。

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