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横須賀・三浦 トップニュース社会

公開日:2022.12.16

旧田浦月見台住宅
「天空の住居群」利活用
民官連携で谷戸地域再生

  • 60年超の平屋住宅がそのまま残されている

 横須賀市は、「旧市営田浦月見台住宅」(田浦町1の54)を民間事業者に貸し出し、民官連携で利活用していく方針を決めた。12月6日に開かれた市議会総務常任委員会で報告した。来年3月に事業者を公募し、同年7月以降に事業着手する計画。空き家状態になっている既存建物をリノベーションして店舗やコミュニティ空間に転用し、谷戸地域の再生と活性化をめざす。

 敷地面積1万3653平方メートルの「旧市営田浦月見台住宅」は、JR田浦駅徒歩約10分の場所にあり、「の」の字を描いてループする急な坂道を上り切った先の高台に全74戸の平屋建て住宅がある。

 1960年に横須賀市が開発したもので、2Kの間取りの共同住宅や長屋が整然と建ち並ぶ。家屋は法定耐用年数を大幅に超えており、老朽化が著しいことから2020年度に市が廃止を決定。現在居住者はいない。

 道路幅員が狭いため新たな開発行為ができない。用途地域の制限もあり、公共施設の設置は困難な状況だが、複数の民間事業者に意見聴取を行ったところ、活用に前向きな声が多数あったという。主な意見は「空が抜けて眼前に広がる東京湾の眺望がすばらしい」「レトロな雰囲気に魅力を感じる」「リノベーションで事務所や店舗の設置が可能」といったもので、市の担当者は「遊休資産を更地にして売却するという方法もあるが、別の視点でまちづくりに活用していきたい」と説明している。

 市が事業化を急ぐのは、建物の安全性が懸念されており、空き家の状態を長引かせたくないためだ。事業者からは一部の建物を解体して広場などを設ける提案もある。建物は賃貸を軸に進める考えだが、条件面はこれからまとめる。無償で貸し出して活用してもらうことも検討している。

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