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公開日:2023.10.27

按針ゆかり複製立像展
大航海時代の歴史ロマン
リーフデ号船尾の「守り神」

  • 木造エラスムス立像の複製

  • 企画発案者の田口会長

 江戸時代に徳川家康に仕えた英国人、三浦按針(本名ウィリアム・アダムス)が乗船したリーフデ号の船尾に取り付けられていたエラスムス立像の複製が、11月3日(金)から西逸見町のウェルシティ市民プラザ2階で公開される。按針の顕彰団体「コロボックルの会」の田口義明会長が企画した。奇しくも放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』に按針が登場するタイミングと重なり、注目を集めそうだ。同月25日(土)まで。

 高さ105cmある木造のエラスムス立像は宗教改革時代を生きたオランダの啓蒙思想家、デジデリウス・エラスムス(1466〜1536年)をかたどっている。リーフデ号はエラスムス号を改名したもので、像が「守り神」となっていた。

 船は1600年に太平洋上で暴風雨に遭い、大分県臼杵市に漂着。立像はその後、幕府の旗本の手にわたり、栃木県佐野市にある古刹・龍江院に寄進され400年近く安置されてきた。同寺に存在する理由として、この地の戦国武将に按針が砲術指南した縁などが関係しているといった説がある。1950年に国指定重要文化財となり、現在実物は東京国立博物館に収蔵されている。

 今回、横須賀でお披露目されるのは、龍江院が所有する複製された立像。数年前に佐野市出身の彫刻家・笹川むもん氏が精巧に模した。

 実物は左手に聖書を持っていたとされるが、後世に遺すため禁教時代に切り落とされた形跡があり、これも忠実に再現。右手に持つ巻物には、「ER(AS)MVSR(OT)TE(RDA)M1598」の文字が刻まれているのも実物と同じだ。

 複製の立像を按針ゆかりの地で巡回展示させるアイデアは田口さんによるもの。幼少期から按針の生き様に興味を持ち、徒歩で足跡をたどる旅をのべ4回行ってきた田口さんの呼びかけに、按針を慕う全国各地の同士が賛同して実現した。

 展示は昨年10月、按針の指揮で日本初の洋式帆船が建造された静岡県伊東市を皮切りに、漂着地の大分県臼杵市、終焉の地である長崎県平戸市、立像のある佐野市、遭難したドン・ロドリゴ一行の上陸地で按針の帆船でメキシコに送還された記念塔のある千葉県御宿町を経由して、横須賀市が最後となる。

 悲願だった按針の大河ドラマ登場の夢も叶い、「集大成の企画。多くの人に按針の功績を知ってもらいたい」と田口会長は話している。

 時間は午前9時から午後5時。入場無料。

按針と家康の関係性鈴木かほるさんが新説

 郷土史研究家の鈴木かほるさん(桜が丘在住)の按針に関する新説が先ごろ、國學院大學の史学雑誌『国史学』239号に掲載された。

 「英商通商が成立するまでのウイリアム・アダムスの13年間の動向を検証する」と題した論文。1600年に按針が来日してから14年に英商通商が成立するまでの13年間、家康の下で何をしていたか、按針を重用した家康の目的などについて、これまで研究の目が向けられなかった空白の時間をスペイン史料から読み解いた。詳細は同大のホームぺージ(【URL】https://www.kokugakuin.ac.jp/)

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