汐入町のギャラリースペースで個展を開いている現代美術家 山本アンディ彩果さん(本名:山本彩果) 横須賀市公郷町出身 31歳
忘却への抗い、創作に
○…それは忘却への抗いだ。記憶と記録を象徴する本を「砂糖漬け」にし、疑似的な永遠を試みる。大学時代の体験に起因する表現方法を編み出し、『エターナル・ストーリー』と命名した。その手法は街の記憶にも伸びていく。現在、横須賀市汐入町にあるギャラリースペース「問室」で開かれている展覧会には自身の軌跡をうかがわせる作品を一同に並べた。
○…原点は大学4年のときにさかのぼる。認知症で独居高齢者となった祖父と保土ヶ谷区で2人暮らしを経験した。特段、仲が良かったという訳ではない。「母よりむしろ適度な距離がある方が一緒にいられる」と考えた。だが、同居からしばらく経ったある日、祖父の口から「初めて2人でご飯を食べたね」という言葉が漏れた。衝撃的だった。毎日食卓を共にしてきたのに、祖父には思い出がない。「今を視覚化して受け入れないと一緒に生活を続けられない」。古来、果物や野菜を保存してきた砂糖漬けという発想は祖父と過ごした日々を「忘れたくない、忘れられたくない」という執念の結晶だ。
○…公郷町出身。現在は祖父と暮らした家に住みながら制作活動を続け、アルバイトを転々とする。生活の手段、というだけではない。興味の赴くままにあえて職場を変え「色々な場に自分という人間が組み込まれている」という俯瞰した視点は自らもアートの世界の一員と捉え、創作のヒントを探りたいゆえだ。
○…展覧会では、横須賀滞在での気づきやまちの変化、歴史を拾い上げ、自身の技法に落とし込んだ。石ころやレンガ、情景-。何気なくても、横須賀を作り上げてきた一部だ。「繰り返しの中にある発見や思いを形として残していきたい」。作家としての信条が口をついた。
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