横須賀・三浦 コラム
公開日:2026.05.22
三郎助を追う ~もうひとりのラストサムライ~ 第44回 文・写真 藤野浩章
「一時間とは、つまり半刻のことか。なんだかせわしないのう」
◇
長崎では、オランダ海軍のファビウス中佐が待ち構えていた。幕府に海軍の創設を提唱していた人物だ。そして教師団長はペルス・ライケン大尉。彼はどうやら相当なスパルタ教育を施したようだ。徹底した西欧式の教育方式で"夜明けから日暮れまでを昼の六刻"としていたようなおおらかな時間感覚だった日本人には相当に刺激的だった。さらに"一と六の日が休み"だった役所勤めの面々にとって、日曜日が休日という曜日制のシステムは休みが減るということで不満だったという。
そんな彼らには、オランダから1隻の軍艦が実地研修のために与えられていた。スンビン号である。これは後に贈呈され「観光丸」として幕府最初の蒸気船となる。
伝習生たちには、ライケンからそれぞれ習得すべき目標が与えられていた。例えば三郎助は「右、士官一体の心得を修業致し、軍艦製造方主に相(あい)心得申さるべく候」・・・つまり士官統率スキルと造船だ。しかしそれだけでなく、全員にオランダ語と数学が必修科目とされ、これが彼らを相当に苦しめた。
ところが、この数学を難なくこなし、難渋するメンバーの補講まで行っていた人物がいる。小野友五郎(ともごろう)だ。幕府天文方である彼の博学ぶりはオランダ人教師も驚くほどだったという。その知識は、後に小栗上野介も驚かせることになる。
こうして伝習生たちが苦しんでいる中でただ一人、意気揚々と活躍していた人物がいる。他でもない、勝麟太郎だった。彼はどうやら「密命」も帯びていたようだ。
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