横須賀・三浦 社会
公開日:2026.05.29
行動変容が唯一の解決策
5月30日は環境省などが呼びかける「ごみゼロの日」──。これを単なる語呂合わせのスローガンとするのではなく、市民一人ひとりがごみの減量に対する意識を持つことが大切だ。行政の努力と私たちの行動変容こそが、膨れ上がるごみを抑制する唯一の解決策となる。特に昨今の燃料費高騰による処理コストの増大といった課題にも直面しており、対応の徹底が不可欠となっている。今、私たちにできることは何か?ごみ処理の状況も含めて、横須賀市資源循環部の職員に聞いた。
──ごみを減らすための「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」という言葉は、浸透しつつあるように感じる。
「私たちは現在、『捨てない子どもを育てよう』という軸で美化啓発を行っており、その先に3Rがあると考えている。『ポイ捨てをしない』ことはもちろん、最後まで使い切る。壊れてもすぐに捨てずに直したり、形を変えてでも使い続ける。『モノを大切にし、簡単に捨てない』というアプローチを子どもたちに向けて行っている」
──大人ではなく、子どもをターゲットにしているのはなぜか。
「大人の意識や行動を変えるのは難しい。駅前などでポイ捨て防止の啓発や清掃活動をしていると『ご苦労様』と声をかけてくれるが、そういう人はそもそもポイ捨てをしない。一方で、悲しいことにそのすぐ隣でタバコをポイ捨てしていく大人もいるのが現実。それなら『最初からポイ捨てをしない大人を育てればいい』と考えた。『幼少期にごみを拾った経験がある子は、大人になっても絶対に捨てない』という信念のもと、数年前からこの切り口で活動している。学校で学んだことを家で親に伝える『逆向きの啓発』によって、大人の背筋を伸ばす効果も狙っている」
──具体的にはどのような教育・啓発を行っているのか。
「学校からの依頼を受けて、食品ロス、海洋プラスチック、街のポイ捨てなどをテーマに『出前授業』を行っている。座学だけではなく、実際に地域の公園や海岸でごみ拾いをしてもらい、その結果を発表してもらうような、体験型の構成を意識している。26年度中には、リサイクル施設『アイクル』内に、資源循環を楽しみながら学べる常設の『環境体験ブース』をオープンする予定だ」
──身近な「リユース」では、どのような取り組みがあるか。
「子どもを主役にした取り組みとして、『おもちゃのリサイクル』を行っており、市内5箇所に回収場所を設けている。大人向けには、民間企業と提携した不用品買取プラットフォーム『おいくら』の活用を推奨している。不要になった家具などをスマホで撮影して申し込むと、一括でリサイクル業者の見積もりが取れる仕組みだ。一昨年から市と協定を結んでおり、26年4月の実績では、1ヶ月のアクセス数が627件、査定依頼が114件と、確実に利用が広がっている」
──昨今の燃料費高騰は、処理コストの増大につながっていないか。
「ごみ処理に対する市民意識の高まりに加え、人口減少もあってごみの総量は減っている。しかし、処理施設の運営には軽油などの燃料が必要不可欠なため、燃料費の高騰が直撃している」
──私たちが身近でできる最大の協力は何か。
「一番効果的なのは、生ごみの『水切り』だ。水を含んだまま焼却炉に入れると、炉の温度が下がってしまう。温度を保つためにさらに余計な燃料を投入しなければならず、経費が跳ね上がる。これを徹底するだけで、大きなコスト削減になる。生ごみ処理機やコンポストの利用も有効だ。市では購入費の補助金を用意している」
──市民が間違えやすい分別や現場が本当に困っていることは何か。
「菓子箱や封筒などの『雑がみ』は、汚れや匂いがなければ『燃せるごみ』ではなく、集団資源回収に出せばすべて資源になる。現場として一番切実なのが『リチウムイオン電池』の混入。モバイルバッテリーなどに使われている電池だが、これらが『不燃ごみ』などに紛れて収集車や処理施設に入ると、機械の圧力でショートして破裂・発火し、大火災に繋がる。修理に長い時間と巨額の損失を伴うだけでなく、地域のごみ収集が止まってしまうリスクすらある。本庁舎や行政センターに『無料回収ボックス』を設置し、正しい処分を呼び掛けている」
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