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公開日:2026.06.26

市井のドラマー、その生き様 「還暦越えロック精神」漫画に

  • バンドの演奏シーンを描いた作品の扉絵(作者提供)

    バンドの演奏シーンを描いた作品の扉絵(作者提供)

  • 漫画家の石渡さん(左)薬剤師でドラマーの高橋さん

    漫画家の石渡さん(左)薬剤師でドラマーの高橋さん

 横須賀市湘南鷹取出身の漫画家、石渡治さん(67)=人物風土記で紹介=が、自身の高校時代の同級生で、薬剤師とドラマーの2つの顔を持つ高橋達也さん(66)の半生を描いた新作『BONZO(ボンゾー)─達也くんのこと─』を発表する。ボクシング漫画の『B・B』や競輪をテーマにした『Odds(オッズ)』シリーズなどのヒット作を世に放ってきた人気漫画家が着目したのは市井の人の生き様。ノスタルジー漂う1970年代の横須賀の風景とともに全国発信される。

 作品づくりのきっかけは、40数年ぶりとなる二人の再会。都内で暮らす石渡さんが、親の介護のために定期的に横須賀へ帰郷するようになり、景色の変化に驚くとともに、地元に残った友人たちとの交流を通じて「肌感のある三浦半島を舞台に漫画を描きたい」との思いを強くした。

 そうした中で、学校は違ったが、当時バンド活動に熱を上げていたドラマーの高橋さんが、今も現役で音楽活動を続けていることを知り、創作熱が呼び覚まされた。

 高橋さんは、横須賀で人気と知名度を誇るアマチュアバンド「そうざんす!」のメンバー。横須賀市主催のバンドコンテストでベストドラマー賞を受賞するなど、当時と変わらないロックスピリッツで仕事と人生を生き抜いてきた。石渡さんは、三笠公園の野外音楽堂で120回ものライブを重ねてきていることも聞かされ、「全国的には無名かもしれないが、地道に、かつ全力で生きてきた男のドラマは絶対に面白い」と、その生き様を作品に投影することを決めた。

 タイトルの『BONZO』は、高橋さんが生涯憧れ続ける伝説のロックバンド「レッド・ツェッペリン」のドラマー、ジョン・ボーナムの愛称に由来して付けた。

 ストーリーは、高橋さんから聞き取った記憶と写真などの資料をもとに構築したもので、「ほぼ実話」だという。前編(幼少期〜高校時代)、中編(薬局開業とバンド結成)、後編(波乱万丈の現代まで)の3部構成で、石渡さん自身も「語り部」として作中に登場する。

 小学館のデジタル配信サイト「サンデーうぇぶり」内のコーナー「水曜日のマスターズ」で、7月1日、15日、29日の全3回にわたり配信される。閲覧無料。

同級生の石渡さんと高橋さん 再会きっかけに作品化

 作者と作品のモデルである2人が揃って6月18日、地元ラジオ局「FMブルー湘南」の番組に生出演した。

 見どころの一つは、2人の「20〜30代」の対比。日本中がバブル経済に沸く中、石渡さんは人気漫画家として成功を収める。一方の高橋さんは薬局を開業したばかりで苦難に直面していた。作品ではそのあたりの様子が描かれているという。

 人生をさらけ出すことになった高橋さんは「過去を思い出すのは恥ずかしかったが、完成版を見て、俺の人生も案外面白いと思えた。プロの画力と構成力には驚かされた。人生の後半でこんなに楽しい経験ができるとは」と笑顔で語った。

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