本紙は2020年の年頭にあたり、吉田英男三浦市長へ新春インタビューを行った。任期折り返しの3年目を迎え、地域経済活性化と子育て支援のさらなる拡充へ意欲を示す。昨年の市政運営と今年の展望について聞いた。(聞き手/編集長・松野可奈子)
――まずは2019年の総括をお願いします。
「三崎高校跡地のA地区に、ベイシア三浦店と市民交流センターがオープンしました。市の中心地であり市民交流拠点と位置付けるこの場所が、にぎわいのある地区として発展していくためのスタートを切りました。
10月には横須賀市とごみ処理広域化に関する協議書を調印。同市との広域化による連携は消防事務に続く2例目です。具体的には、今年3月から各市の施設を共同利用し、両市で発生したごみの処理を開始。昨年は横須賀市内の新たなごみ処理施設『エコミル』で、一足早く焼却が開始されました。そして、埋立を担う最終処分場が市内でほどなく完成します。今月から分別方法の変更を行うことになり、引き続きごみの減量化と資源化にご協力ください。
また、昨年を振り返るうえで、災害を忘れることはできません。台風15号・19号が相次いで大きな被害をもたらしました。姉妹都市の長野県須坂市でも千曲川の越水等により大きな被害が発生し、市として職員を派遣。ボランティアの受入等に協力させていただきました。台風19号では特別警報も発表され、避難所の早期開設等の対策に努めました。引き続き、地震や風水害等の災害について十分に準備し、対策を講じていきます」
――三崎高校跡地活用の今後の計画は。
「様々なコミュニティの会合や展示会、小網代の森インフォメーションスペースでの森の魅力発信等、市民活動が行われている市民交流センターの愛称を市内小学生に募集し、『ニナイテ』が最優秀賞となりました。この愛称とともに、市民皆さんの手で、地域や年代を越えた人々が気軽に集う交流の場として育てていただきたいです。
B地区については、市民交流拠点のコンセプトに沿った民間施設の誘導を図りつつ、公共施設の集積を図っていきたいと考えています。
市役所の移転候補地としても検討しており、現在市役所のある城山地区の利活用と併せて検討を進めるとともに、土地活用のために必要な基盤整備計画を立案予定です」
――今年の重点施策は。
「地域経済の活性化と子育て施策の充実があげられます。具体的には二町谷の企業誘致と子育て賃貸住宅の整備に取り組んでまいります」
定住・関係人口の増加へ
――二町谷埋立地利活用計画の進ちょくについて聞かせてください。
「二町谷地区への企業誘致は、水産関連施設用地において現在6者が7区画に進出し、水産関連施設用地全体(16213・63平方メートル)の約4割となる6639・25平方メートルを占めます。また、活用意向のある複数の事業者と具体的な協議を進めており、今後も企業誘致に努めます。
一方、多目的活用用地については、2018年6月に締結した基本協定に基づき、事業者との土地売買契約の締結に向けて協議を進めています。
事業に必要となる浮桟橋設置や公園管理事務委託も漁港管理者である県と協議中です」
――もうひとつの重点施策、子育て支援の拡充で、移住・定住促進が期待されます。
子育て支援
「妊娠期から子育て期まで切れ目のない母子支援を行う『みうら子育て世代包括支援センター』を、子ども課に開設して1年半が経過しました。フロアの一角、こぢんまりとしたキッズスペースにはプレイマットやベビーベッド等を置き、保護者が落ち着いて手続きや相談できます。センターでは妊娠・出産・子育て期にわたる様々な悩みを軽減できるよう、保健師・助産師・栄養士・歯科衛生士がサポートし、それぞれの時期に合ったサービスの利用が可能です。昨年度は、電話相談・面談ともに86件で、合計172件のご相談がありました。
また、産後ケア事業では出産後の悩みや一息お休みしたい方などを対象に、母子デイサービスや母子訪問サービスを実施。先月、同課に開設した「みうらファミリーサポートセンター」では、有償ボランティアでお子さんを預かる方(提供会員)と、お子さんを預けたい方(依頼会員)の橋渡しをする事業もスタート。地域における子育て支援で、現在両会員の募集をしています」
子育て賃貸住宅
「子育て賃貸住宅の整備は、今年中に実施方針を示し、来年度、事業者の公募・選定を行っていきます。子育て世帯の転入促進・転出抑制を図る事業であり、南下浦市民センターとの複合化により新たなコミュニティが生まれる施設でもあり、入居者や市民が三浦市での暮らしの楽しさを発見できるような場所にしたいと考えています。この場所をきっかけとして、三浦市で暮らし続けたいと思う人が増え、新しい人の流れが生まれることを期待しています」
定住促進
「転入促進・転出抑制には、様々な機会で三浦のPRを継続することが必要です。とりわけ若年層への働きかけは課題。先の支援策をはじめ、市民はもちろん、移住を考えている方に向けて積極的に行っていきます」
――最後に今年の市政運営におけるキーワードや予算編成の見通しについてお願いします。
「来年度の予算編成は、『三浦みらい創生プラン』実施計画最終年度であり、その成果を踏まえ、新たな実施計画に繋げていく重要な年です。
厳しい財政状況の下にあっても、水道事業会計の経営の安定化、高齢化や人口減少への対応等、市民生活に深く関わる課題に対して、スピード感をもって施策展開し、地域経済の活性化と子育て施策の充実等、同プランに掲げた重点施策に取り組みます。
本年も『三浦市は、人よし、食よし、気分よし』をキーワードに、着実に前進していけるよう、まちづくりに邁進してまいります」
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