11月7日開催の「湘南ふじさわジャズミーティング」でディレクターを務める 栁町 卓(たかし)さん 鵠沼花沢町在住 54歳
街への恩返し胸に
○…音楽が街にあふれ人々が笑顔で行き交う。昨年、地方都市で街ぐるみのジャズイベントを目にした実行委メンバーの一人から「藤沢でもできないか」と相談を持ち掛けられたのがきっかけ。構想はすぐに膨らんだ。敷居が高いと誤解されがちだが、即興を通じて誰もが演奏の醍醐味を共有できる懐の深さこそジャズの真骨頂。「音楽で街を元気にするならぴったりだ」。そう確信した。
○…南口の繁華街一角にあるバー「ベルーガ」。25年前、一念発起して開店した12坪の小さな城にもコロナによる打撃が直撃した。業態の特性が裏目に出たことで売り上げは激減。自らも苦境にあえぐ事業者の一人だが、「くよくよしたって始まらない。暇になった分、できることもある」と前を向く。飲食店一筋で修行時代から藤沢駅周辺の栄枯盛衰を見つめてきた。「25年やってこれたのもこの街があってこそ。お返しができれば」。そんな恩義が自らを駆り立てる原動力だ。
○…昨年から1年かけて準備を進め、何度も打ち合わせを重ねてきた。コロナ禍の終息が見通せず、一時は中止する声も上がった。それでも「何とかなる。やろう」。誰からともなく声は上がり心は一つに。メンバーにはまちづくりに携わる企業経営者らも顔を揃えており「頼もしい顔ぶれ。きっと成功する」
○…音楽を通じて人が集まり、賑わいが生まれていく。イベントに冠した「ミーティング」にはそんな思いを込めた。観客だけでなく、キャリア様々な出演者をつなぎ、若手を応援する狙いもある。実は趣味で長年サックスを吹いている自身もバンドの一員として出演する予定。「自分はどうでもいい」と笑いながら、「藤沢が活力を生む発信源になる、そのきっかけが作れたら」。