乾いた打球音が響き、チームメイトが声を掛け合う。「やっぱり、ここはいいな」。グラウンドに立てる有難さが、今さらながらに身に染みた。
5月上旬、練習試合で盗塁した際、右足に激痛が走った。診断の結果は「後十字靭帯損傷」。「ジョギングできるまで3カ月かかる」。医師にそう告げられ、頭が真っ白になった。
走攻守揃ったキープレイヤーとして夏の活躍が有望視されていた。春、横浜隼人に敗れ、悔しさをバネに夏を戦い抜こうと決意した矢先だった。もう夏に間に合わない―。一度は心が折れた。
覆したのは「まだ諦めるな」と言ってくれた両親とチームメイトの激励。スポーツ専門の医療機関で計画を立て、治療とトレーニングが始まった。痛みに耐えながら気持ちだけがはやったが、己の可能性を信じた。
奇跡的に、1カ月ほどでグラウンドに戻ってくることができた。まだ多少痛みは残るが、他のチームメイトと同じ練習をこなせるまでに回復。完全復帰も視野に入る。
チームは昨年から選手自らが練習やルールを決める「合議制」を採用。メンバー入りの条件は以前のパフォーマンスに戻せていること。「間に合わせてみせる」。言葉に覚悟がにじむ。
「天下無敵の超一流校たれ」。球場の一角にある看板が伝える常勝時代からは遠のいて久しい。今夏の目標は8強を超えること。初戦を制せば、次戦には横浜隼人との再戦が控える。「次は負けない。負けちゃいけない」。最後の夏に向け、照準を絞った。
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