障害者が手掛けた創作物を、デジタルデータに資産価値を付与する「NFTアート」として市場に流通させ、作家活動を支援する活動を藤沢市に拠点を置く社団法人が取り組んでいる。インターネット上で販売を代行し、売上を還元する仕組みで、先月から第一弾となるオークションも開始。「障害者の魂のこもった作品を、広く知らしめたい」と意気込んでいる。
宮原出身、福室さん発案
発案したのは(一社)ソーシャルアートラボ代表の福室貴雅さん(48)。今回販売しているのは、鎌倉市のアトリエに所属する障害者の色鉛筆画など約10点(1万5千円〜)で、インターネットマーケット「ユニマ」(https://market.uniqys.net/project/socialartlab/)で3月20日(日)までを予定。一次流通時に売上の74%、二次流通時には8%が作家に還元される仕組みだ。
障害者アートは、共生社会の推進やパラリンピックの国内開催を背景に全国でも広まりつつある。一方、食品や布小物といった商品と異なり、「作品」としての認知が低く販売に結びついていない実情があるという。
そこで福室さんはオークション形式で作品としての価値を高めるとともに、デジタル資産として近年注目される「NFT」の仕組みを活用。作り手へのファンも獲得しながら、「作家」として活動しやすい環境づくりも図りたい考えだ。「障害者アートは、趣味といっても生きがいとして魂を込めた作品が多い。いずれ就労の手段としてアートが選べるようになれば」と期待を寄せる。
美しさに魅せられ
福室さんは宮原出身。湘南高校を卒業後、都内で服飾デザイナーとして活動。3年前に故郷藤沢へ戻ってきた。
地域活動に取り組む中、ビーチクリーンで集まったマイクロプラスチックをアクセサリーに加工するプロジェクトに関わったことが転機に。加工を手掛ける障害者の仕事の丁寧さと作品の美しさに驚かされた。
その後、障害者アート創作現場などを周り、昨年11月に事業を発足。福室さんは「創作環境が整えば、もっとすごい作品が生まれるはず。どれも力作なので、まずは作品を見て」と呼び掛けた。
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