定時制・通信制高校の生徒らによる「生活体験発表大会」の全国大会が先月20日、東京都内で開かれ、県立湘南高校定時制(鵠沼神明)に通うカンボジア出身のポウホイイーさん(17)=綾瀬市=がNHK会長賞を受賞した。部活動の経験から多文化共生をテーマに掲げ、「互いの違いを理解しようと努力することで未来を切り開くことができる」と力強く語った。
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「人間には安心できる場所が必要です。湘南高校定時制には『多文化共生部』があり、国や地域・人種も関係なく受け入れてくれます」
義理の母を頼って小学6年生のとき、父と来日したポウさん。編入した長後小学校から高倉中学校に進み、必死に日本語を習得した。
湘南高校定時制を選んだのは、多様な国籍や背景を持つ人が集まる多文化共生部があったから。3年生になってからは部長を務め、ベトナムやペルー、フィリピン、ブラジルなど様々な国籍の10数人と毎週活動する。
発表では、全日制と合同で実施される文化祭を取り上げた。部室の天井には万国旗、中央には地球儀を置き、壁には自分の国や学校を紹介するポスターや国に関するクイズを貼り出すなどした。
多くの人で賑わう中、度々来場者から「留学生か」と尋ねられたことが引っかかった。留学とは自分の意志で学びたい国に行くことだ。自分の祖父は難民で、他の部員の家族も政治・経済・戦争など様々な背景を持っている。文化祭が、自分たちのことを正しく知ってもらう機会になり、発信する重要さを感じた。
文化祭の準備では、皆アルバイトで忙しく時間がない中で衝突もあった。でもその都度、お互いが理解しようと努めた。思えば国や言語も違う自分たちをつなげていたのは、そうした相互理解の努力だった。
ある時、「何人か」という問いに仲間が「地球人」と答えた。素晴らしい答えだと思った。
卒業後は短大か専門学校に進学し、情報を学びたいというポウさん。いつか日本で学んだことを母国で役立てたいという夢もある。発表ではこう締めくくった。
「人間は生まれる国も時代も選べません。しかし、未来の選択肢は無限です。色々な所で出会う仲間と共に、今できることを探していきたい」
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